第一章
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お金はまさに命
宮野進の家は不動産屋でマンションやアパートを幾つも経営していて非常に裕福である。それでだ。
彼もお小遣いは多く持っているが親達にいつも言われていた。
「お金は大事にしろよ」
「無駄遣いは駄目よ」
「ちゃんと考えて使うんだ」
「計画的にね」
こう言っていた、だが。
彼自身はそれはという顔で通っている中学のクラスメイト達に言っていた。茶色がかった髪の毛をおかっぱにしていて細面で涼し気な目で背は高くすらりとしている。
「うちお金あるしね」
「使ってもいいっていうんだな」
「そうなんだな」
「あるものは使わないと」
さもないと、というのだ。
「資本主義は駄目だっていうしね」
「だからか」
「お前お小遣いは結構派手に使ってるか」
「そうしてるんだな」
「悪いことに使わなかったらいいじゃない」
宮野は倫理感はしっかりしているのでこう言った。
「麻薬とかギャンブルとか」
「麻薬は論外だろ」
「あとお前賭けごと苦手そうだしな」
「そういうのは止めろよ」
「碌なことにならないぞ」
「だからしないよ」
どちらもというのだ。
「僕だってね、けれどね」
「お金はあるだけ使う」
「そうしたらいいってか」
「そう思ってるんだな」
「そうだよ、あるならね」
またこう言うのだった。
「使えばいいじゃない」
「それも一理あるけれどな」
「けれど親父さんとお袋さんが正しいだろ」
「無駄遣いは駄目だってな」
「それはな」
「そうかな。無駄遣いでもいいじゃない」
悪事に使わないならというのだ。
「別に。だからね」
「これからもか」
「お前はお金使うか」
「貰ったお小遣いは全部」
「そうするんだな」
「そうするよ」
友人達に笑顔で言ってだった。
彼は派手に使い続けていた、だが。
ある日だ、彼はCDショップである商品を見て仰天して言った。
「こ、これは!?」
「どうしたんだよ」
「何があったんだよ」
「凄いよ、トスカニーニのオテロなんて」
歌劇の全曲盤CDを観て言うのだった、実はクラシックマニアなのだ。
「よくこんなのあったよ」
「俺達にはわからないけどな」
「いいものなんだな」
「じゃあこれ買うのか?」
「結構高いけれどな」
「買うよ」
ここまではよかった、だが。
残念なことに彼はこの時持ち合わせがなかった、それでだった。
渋々諦めた、それでこう言うのだった。
「残念だよ」
「いや、お金ないとな」
「やっぱり買えないだろ」
「買いたいものあっても」
「仕方ないだろ」
「仕方ないけれどだよ」
無念な気持ちをそのままに言うのだった。
「僕は欲しかったのに」
「いや、取っておいてもら
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