第二章
[8]前話
「あの人達何?」
「黒髪ロンゲの女の人三人?」
「傍に赤い車停まってるけど」
「あの車あの人達のかしら」
「ここ神戸なのに岐阜ナンバーって」
「真夏なのにトレンチコートでズボンって」
「滅茶苦茶怪しいわね」
夕暮れの中にいる三人を見て話した。
「何者?」
「あからさまに怪しいでしょ」
「どう見ても不審者よね」
「そうよね」
「あの人達あれでしょ」
だがここで明音が言った。
「口裂け女でしょ」
「あれっ、そうなの」
「うちの学校の校門の前に出る」
「あの妖怪なの」
「そうなの」
「何でもね」
明音は驚く部活仲間達にさらに話した。
「口裂け女のお話は岐阜県から出て」
「そうだったの」
「あそこからだったの」
「三人姉妹で赤い車に乗るって話があるから」
この話もするのだった。
「外見はそのままだし」
「そうね、校門に出るっていう」
「まんまの恰好ね」
「それじゃあね」
「今は駅前にいるのね」
「どうして駅前に三人でいるかはわからないけれど」
それでもとだ、明音はさらに話した。
「とりあえずね」
「通報することはないのね」
「不審者じゃなくて妖怪だから」
「それでなのね」
「ええ、見て」
観ればだ、その三人は。
傍に停まっている車に入って八条学園の方に行った、明音はそれを見て部活仲間達に微笑んで話した。
「牛丼食べに来ただけみたいね」
「そうみたいね」
「何かって思ったら」
「それだけね」
「妖怪も何もしないならいいし」
別にというのだ。
「だからね、怪しいと思っても」
「迂闊に通報しない」
「相手にも迷惑がかかるから」
「それでなのね」
「警察も無駄に動くことになるしね」
このこともあってというのだ。
「見極めないとね」
「そういうことね」
「私達も気をつけるわ」
「これからはね」
部活仲間達は明音の言葉に納得した顔で頷いた、そうして駅からそれぞれの家に帰った。明音もそうして家では笑顔で過ごした。
あからさまな不審者 完
2022・11・21
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