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あからさまな不審者
第一章

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               あからさまな不審者
 早乙女明音は黒髪をショートにしていてあどけない感じの大きな目と小さな唇を持っているやや丸顔の少女だ。背は一五四程で小柄な身体に似合わない我儘なスタイルを持っている。
 通っている八条学園高等部ではいつもクラスメイト達と一緒にいて空手部の部活にも励んでいるが。
「変な人が寄ってきてもなの」
「空手使わないの」
「二段で大会にも出るのに」
「空手は活人だし」
 そちらの空手でとだ、明音は答えた。青の丈の長いスカートと白のブラウスの制服が似合っていて自分でも気に入っている。
「暴力はよくないから」
「そうした時はスルー」
「しつこいと通報」
「ブザーも使うの」
「そうしてね」
 そのうえでというのだ。
「避けるわ、それで不審者が出たら」
「退治とかしないで」
「通報ね」
「そうするのね」
「そうなの、ただ決め付けはね」
 不審者かどうかということのというのだ。
「しない様にね」
「してるのね」
「そこは見極めて」
「そうしてなの」
「通報するわ」
 こう言うのだった。
「若し普通の人だったら迷惑だしね」
「それでなのね」
「通報も慎重に」
「そうしていくのね」
「ええ、そうしていくわ」
 クラスメイト達に微笑んで話した、明音はそうした考えだった。
 そのうえで日常を楽しんでいたがある日だった。
 部活が終わって帰る時に学校の最寄り駅の傍にだった。
 トレンチコートを着て切れ長の目で黒髪をロングにしたマスクの女性が三人連れで牛丼のチェーン店から出た、その人達を見て。
 部活仲間は眉を顰めさせて話した。
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