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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第134話:熟成する仕込み
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してください! 誰も接触できないよう、独房にでも閉じ込めて!!…………いえ、キャロルの企みを知らしめると言う、僕の目的は既に果たされています」
最早自分に存在意義は無い。最早自分に為すべき事は無い。居る必要が無いのであれば、ただ情報をキャロルに流すだけの自分などいない方が良いとエルフナインは己の存在そのものを否定した。
「だからいっそ!? だから、だから……いっそ僕を――」
この場で殺してくれ……そう言おうとしたエルフナインを、誰かが優しく包むように抱きしめた。誰かと顔をあげればそこには、珍しく……と言ったら失礼かもしれないが、慈しむような笑みを浮かべた了子が居た。
「そんな事、出来る訳ないじゃない。エルフナインちゃん、何も悪いことしていないのに」
「そうだ。君は寧ろ被害者だ。そんな君を隔離したり排除する何てこと、したがる奴はこの場には誰も居ない」
ただ1人ウィズであれば容赦なく排除に乗り出すかもしれないが、今彼は所用とやらでこの場に居ない。だからこの場に、エルフナインの事を否定する者は存在しなかった。
「了子さん……ガルドさん……」
エルフナインが呆然と2人の顔を見上げ、視線を左右に向ければそこには2人と同じく安堵と優しさを含んだ目を向けるあおいと朔也の顔があった。彼ら彼女らの優しさが心に沁みて、エルフナインの目に涙が浮かぶ。
「君の目的は、キャロルの企みを止める事。そいつを最後まで見届ける事」
「弦十郎さん……」
「だからここに居ろ。誰に覗き見されようと、構うものか」
「は、はい!!」
トドメに弦十郎からの言葉を受け、エルフナインは己の存在意義を取り戻した。自分はここに居ても良い、誰の迷惑にもならないと実感し、漸く肩から力が抜け笑みを浮かべる事が出来るようになった。
それが面白くないのはキャロルの方であった。弦十郎達の見せつけるような光景に、キャロルは舌打ちをしてエルフナインを介した姿の投影を止めた。
空気に溶けるように姿を消した幻影のキャロル。それと入れ違う様に、颯人が発令所に入って来た。
「ん? 何この空気? 何かあったの?」
明らかにここを離れる前とは変わっている発令所の様子に首を傾げる颯人。彼の暢気な姿に、ガルドは呆れた目を彼に向けた。
「明星 颯人……お前、何時の間にか居なくなっていたかと思ったら、今の今までどこで何してた?」
「ん? ん〜……便所」
「お前は……はぁ」
この非常時に暢気な颯人に、ガルドは呆れて物が言えなくなり溜め息と共に俯いた。その様子に了子が笑みを浮かべる。
この瞬間、了子がまだ抱きしめている為エルフナインから颯人へは視線が通っていない。それを確認し、颯人は素早く弦十郎、あおい、朔也へと視線を向けた
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