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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第134話:熟成する仕込み
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ょ、行きましょ」
「フン、意外とあっさりついて来るのだな?」

 少し話しただけでも分かるくらい我の強いウェル博士。他人の言う事に大人しく従う様な事は無いだろうと思いつつ、何か言ってくるようなら適当にあしらおうと思っていたキャロルは彼があっさりと自分の言葉に従った事に少し驚いた。

「当然ですよ。僕は英雄になる男です。その英雄が活躍するのには、もっと相応しい舞台があるでしょう? 僕はその舞台への案内をしてもらいたいだけです」

 何とまぁ分かりやすい男だろう。とは言えこういう輩は御しやすい。キャロルはウェル博士をそこまで警戒すべき人物ではないと断定し、握手を求めてを差し出した。

「ん?」
「ネフィリムの左腕……その力の詳細は、追っ手を撒きつつ聞かせてもらおう」
「脱出を急がなくても良いのかい?」

 現在この施設には装者が3人に魔法使いが1人、キャロル達を追って入り込んでいる。その内クリスと透の2人はフロンティア事変最終決戦の際に、ウェル博士と因縁のある相手。一緒に居る切歌と調以上に厄介に感じている2人が迫る中、悠長に話しながら移動する事にウェル博士はリスクを感じていた。

 しかし、キャロルの顔に浮かぶのは余裕の笑みであった。

「奴らの動きは把握済み。時間稼ぎなど造作もない」

 そう言ってキャロルは目を瞑った。まるでその先に何かを見ているかのように…………。




***




 一方キャロル達に逃げられたクリス達は、見失った2人と1体の現在地を知る為施設の端末を用いて本部と通信を行っていた。
 だが現在、画面の向こうの弦十郎とクリスとの間で行われているのは情報交換ではなく口論であった。

『力を使うなと言っているんじゃない! その使い方を考えろと言ってるんだ!!』

 迫力のある弦十郎の怒声に、透の後ろに居る切歌と調が思わず首を竦めた。この時奇しくも本部発令所では、同じく言葉が自分に向けられた訳でもないのにあおいと朔也が首を竦めている。それくらいの迫力が彼の言葉にはあった。

 にも拘らず、その言葉を通信越しとは言え真正面から向けられているクリスは全く怯む様子が無い。それどころか弦十郎の迫力に負けじと言い返す始末だ。

「新しくなったシンフォギアは、キャロルの錬金術に対抗する力だ! 使いどころは今をおいて他にねえ! 眠てえぞオッサン!!」
『ここが深海の施設だと忘れるなと言っている!!』

 弦十郎の言葉は正論である。先程透がクリスを制止したのも、元はと言えば迂闊な攻撃が自分達の身を危険に晒すと考えての事であった。施設に穴でも空こうものなら、忽ち入り込んだ大量の海水により全員海の藻屑確定だ。

 それが理解できるだけの頭を持っているクリスは、しかし猛る心を抑え
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