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オズのボームさん
第九幕その三

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「ありのままね」
「そしてそのありのままがだよ」
「善政だったんだよ」
「この上なくね」
「それが如何にいい時代だったか」
 ムシノスケ教授は床にモップをかけながら言いました。
「今でも懐かしいと思う位だよ」
「懐かしいんだ」
「そう、いいことが一杯あったとね」
 教授は魔法使いににこりとしてお話しました。
「そうね」
「懐かしいっていうと」
「そう、いいことだったからだね」
「悪いことは懐かしいと思わないからね」
「逆に忌まわしいと思うね」
「その様にね」
「私は魔法使いさんの頃は小さかったけれど」
 今と違ってです。
「普通のバッタでね」
「その時に感じていたんだ」
「うん、いい場所だとね」
「そして今はいい時代となんだ」
「思っているよ」
 懐かしんでというのです。
「そうだよ」
「そうなんだね」
「全くだよ」
「そしてーーです」 
 チクタクはロイヤルブックを開きました、お掃除の合間にお話を聞いて少しそうしてみました。そのうえで言うのでした。
「魔法使いさんのーー後ーーは」
「かかしさんが少しの間統治者だったね」
 本を運ぶ腹ペコタイガーが言ってきました。
「そうだったね」
「そうーーでしたーーね」
「その頃もね」
「いい時代ーーでしたーーね」
「そうだよね」
「私はーー知りませんーーが」
 その頃チクタクはまだオズの国にいなかったからです、ドロシーに砂浜で見付けてもらうまで縁もありませんでした。
「しかしーーです」
「本にあるからね」
「このーーロイヤルブックーーに」
「そうだね」
「そうしてーーですーーね」
 チクタクは本を閉じてでした。
 本棚に入れてです、それからまた言いました。
「かかしさんーーのーー後は」
「オズマ姫の統治だね」
「今もーーですねーーね」
「そうなっているね」
「そうーーですーーね」
「オズマ姫の統治がはじまって長いけれど」
 腹ペコタイガーはしみじみとして言いました。
「ずっとね」
「いいーー時代ーーですーーね」
「そうだね」
「その間色々な人が来たね」
 ドロシーの足下で彼女のお手伝いをしているトトが言ってきました。
「オズの国に」
「そうよね」
「僕達も戻ってきてね」
 ドロシーにもこう応えます。
「そうしてね」
「今ここにいる多くの人達もね」
「来てね」
「私も戻ったしね」
 魔法使いも言ってきました。
「そしてだよ」
「そうしてよね」
「様々な素晴らしいものが生まれて」
「色々な人や文化も出て来て」
 そうしてというのです。
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