第五百二十三話 カンネーの殲滅戦その九
[8]前話 [2]次話
「同じだけだ」
「素晴らしいものを掴めるのね」
「馬鹿でもな」
「そう聞くと馬鹿でもいいのか」
「そうよね」
大兎とヒメアは鉄人の話を聞いて思った。
「頭がよくてもで」
「馬鹿でもな」
「そうよね」
「そうだ、大事なのは人間としてどうかだ」
鉄人はこうも言った。
「吉井も上条君もだ」
「人間として凄いから」
「素晴らしいものを掴める、吉井にはいつも馬鹿だと言っているが」
それでもというのだ。
「否定はしていない」
「では逆に駄目なのは誰かですね」
ここで言ってきたのは緒川だった。
「一体」
「あえて言うとな」
鉄人は緒川に応えた。
「聞いた限りだがそちらの世界のな」
「あの人ですか」
「鳳鳴家のな」
「ええ、あの人はもう」
「強いことは事実でだ」
「頭もですね」
「見事だと思うが」
それでもというのだ。
「その心はな」
「最早ですね」
「最悪だとしかな」
「やっぱりそうですね」
「自分は常に正しいだな」
「それも絶対に」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「異論も異なる考えもだ」
「一切認めませんでした」
「それこそがだ」
「駄目ですね」
「最もな、吉井達は馬鹿でもな」
そうであることは事実だがというのだ。
「異論も異なる考えも認めてだ」
「自分が絶対に正しいともですね」
「思わずだ」
そしてというのだ。
「誰かの為に動ける」
「あの人は自分だけでした」
「他の者は駒だったな」
「はい」
緒川はその通りだと答えた。
「まさに」
「世界を護る防人だったがな」
「最悪の防人でしたね」
小萌はまさにと言った。
「あの人は」
「聞いていて俺も思いましたよ」
大文字も言ってきた。
「絶対にそうはなりたくないって」
「大文字君はなりませんよ」
「昔のキングと言われて図に乗っていた俺でもですか」
「はい、だからすぐに更正出来ましたし」
「悪くなってもですか」
「あの人はもうエゴの塊ですから」
「エゴですか」
大文字は小萌のその言葉に心を向けた。
「そうですか」
「はい、大文字君は悪い時を聞いても」
それでもというのだ。
「あそこまでではなかったので」
「ならないですか」
「そうだな、あそこまでいくと人ではない」
鉄人は彼についてこうまで言った。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ