第一章
[2]次話
コックニーなんてわかるか
イギリス留学から帰ってだった。
町村瞳は英語がわかる様になったことを喜んでいた。大学生で背は一七二ある。ヨットをしているだけあって体格はよく黒髪を長く伸ばしている。はっきりした大きな目で頬が目立つ顔で血色はいい。口は大きくいつも笑っている。
「いや、喋ることも聞くこともね」
「わかる様になったのね」
「イギリスに一年留学して」
「もうすっかりなのね」
「読む方なんてね」
こちらはとだ、友人達に話した。
「もうすらすらよ」
「わかる様になったの」
「そうなったの」
「前は一苦労だったのに」
「やっぱりあれね」
瞳は笑って話した。
「その言語の中にいたらね」
「そうしたらずっと聞くし読むし」
「わかる様になるのね」
「自然と」
「最初は全くわからないけれど」
それでもというのだ。
「そうなってくるのよ、一年いたら」
「もうすっかりなのね」
「わかる様になったのね」
「そうなのね」
「ええ、もうイギリス人とお話することもね」
本場の人達と、というのだ。
「すっかりよ」
「出来る様になったのね」
「そこまでになったのね」
「一年いて」
そうしてというのだ。
「わかる様になったら、ただ方言はね」
「ああ、英語にも方言あるわよね」
「イギリス英語とアメリカ英語も違うし」
「カナダ英語もそうだしね」
「オーストラリアやニュージーランドでも」
「でしょ?それで私ロンドンにいたけれど」
この街で留学していたがというのだ。
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