エピローグ
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「……はっ!」
ハルトは目を開いた。
見慣れた天井。それがラビットハウスの天井だと気付くのに、時間は大して必要なかった。
「ハルトさん!」
「ハルト!」
その声に首を動かせば、ハルトの顔を覗き込む可奈美と真司の顔が飛び込んで来た。
「可奈美ちゃん……真司……」
意識をしないまま、ハルトはその名を口にする。
だが、言い終えるか言い終えないかの内に、二人がハルトに抱き着いてきた。
「うわっ! ちょ、ちょっと!」
「ハルトさん、良かったよおおおおおおっ!」
「お前、よく無事だったなああああああああ!」
可奈美と真司は、同時にハルトに抱き着く。
二人の遠慮ない行動は、ハルトの傷ついた体に堪える。
「痛っ! いだだだだだっ! 二人とも、離れて!」
ハルトは抵抗しながら二人の後頭部を叩くが、どれだけ抵抗しても二人は放さない。
ようやく響が二人をハルトから引き離したが、肝心の彼女も二人に続きたくてうずうずしている様子だった。
響も同じように飛びついてくる前に、ハルトは話を切り出す。
「俺、どれだけ寝てた?」
「三日だよ」
響が答える。それに伴って、可奈美が口を開いた。
「ムーンキャンサー……邪神イリスが、見滝原中央駅を壊して、もう皆大騒ぎだったんだよ」
「ああ。見滝原で一番デカい駅が無くなって、もう町も大混乱だ」
真司も続いた。
ハルトはそうなのか、と窓にかかったカーテンを開く。ラビットハウスの窓から眺められる木組みの街の景色。だが確かに、その往来を行き来する人々は、どこか忙しなく見えた。
「それにしてもハルト、お前も無事で良かったぜ」
そう声をかけてきたのは、コウスケ。
イリスとマンションでの戦いを経験した彼は、見方によってはハルト以上の重傷に見えた。全身の至る所をミイラと見紛うほどの包帯で覆い、右腕をギプスで固定した彼は、左手を上げた。
「よっ」
「コウスケ……お前、その怪我……」
「皆まで言うな。マンションに潰されたんだ。これだけで済んでラッキーだと思うぜ」
ギプスの腕を見せながら、コウスケはほほ笑んだ。
「お前もかなりの無茶したんだってな?」
「まあ、今回はかなり無茶した部類かも」
「皆まで言うな。そうして負った怪我は男の勲章だって、死んだ爺ちゃんが言ってた」
「へ、へえ……」
ハルトは「勲章って……」と小さく呟く。
次に、落ち着いた真司が「なあなあ」と、ハルトの顔を覗き込んできた。
「トレギアは逃げたのか?」
コウスケの問いに、ハルトは押し黙った。その右手を見下ろし、やがて拳を握る。
「いや。トレギアは……現れないよ。もう、二度と……」
ハルトは、自ら
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