西ゼムリア通商会議〜インターバル・後篇・後半〜
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めたアッシュはオリヴァルト皇子にアッシュ自身が抱いた疑問を問いかけた。
「恐らく”世代”が交代する事によって、先程殿下が危惧した件――――――”カイエン公爵家が第10条によって求められる政府の負担をカイエン公爵家が全て負担している事”を理由に駐留軍による災害派遣をラマール州に優先させる事を殿下は危惧され、それを防ぐ為に半分は政府や皇家が負担する申し出をされたのだろう。」
「なるほどね。その公女はともかく、公女の子孫まで皇家に忠実とは限らないでしょうから、揚げ足を取られかねない為の予防策は必要でしょうね。」
「セ、セリーヌ……そういう事はせめて本人がいない所で言ってよ……」
レーグニッツ知事の推測を聞いたセリーヌは納得した後ミルディーヌ公女をジト目で見つめ、エマは冷や汗をかいてミルディーヌ公女を気にしながらセリーヌに注意した。
「確かに殿下達の懸念に関しては反論できませんわね。幾ら不老不死の身になったとしても、私は永遠にカイエン公爵家の当主を務めるつもりはありませんもの。―――――わかりました。先程挙げた”対価”に加えて殿下達が要求した条件と引き換えに、私の希望に応えて頂けるという事でよろしいでしょうか?」
「ああ、これで”交渉成立”だね。」
「―――――だったら、私の方も条件をつけさせてもらっても構わないかい、ミュゼ君。」
「ア、アンちゃん……!?」
「その様子だと公女さんのお前への要求に応える事を決めたのか?」
ミルディーヌ公女の確認の言葉にオリヴァルト皇子が頷くとアンゼリカがミルディーヌ公女に交渉を持ちかけ、アンゼリカの行動を見たトワは驚き、察しがついたクロウは真剣な表情でアンゼリカに確認した。
「正直迷ってはいたけど、先程のオリヴァルト殿下がミュゼ君に条件を出した事でエリオット君の父君を救う”妙案”を思いついてね。その案を実行する為には、ミュゼ君の協力が必要なんだよ。」
「え……と、父さんを……!?一体どんな方法なんですか……!?」
アンゼリカの答えを聞いて驚いたエリオットは真剣な表情でアンゼリカに訊ねた。
「すぐにわかるよ。条件は二つで、一つ目の条件は私達ノルティア領邦軍とナイトハルト教官達”第四”から離反した部隊の共闘による”帝都奪還戦の先鋒戦”の”指揮権”を私達に委ねてもらう事だ。」
「ほう……考えたな。先鋒戦での指揮権を其方達に委ねる事で、連合やヴァイスラントにとっては”敵将”に当たる”紅毛”をわざわざ救う作戦内容に文句を言わせない為か。」
「あ………」
「なるほど……先鋒戦の陣形もそうだが作戦等を私達で決められる事で、軍の協力によって私達がクレイグ将軍閣下に接触して説得、もしくは捕縛する等と言った事が容易になるな。」
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