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おぢばにおかえり
第七十二話 キャンバスライフその四

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「いいわ、欲しいのは」
「兎に角背ね」
「あと五センチ」
「それだけ欲しいの」
「人は外見じゃないけれど」
 このことはわかっているつもりです、私にしても。ですがそれでも背のことについてはどうしてもです。
「背はね」
「欲しい」
「あと五センチ」
「そうなのね」
「そうなったら」
 もうです。
「私はいいわ」
「やっぱり無欲ね」
「そこまで無欲なのもね」
「かえって凄いわ」
「背だけでよくて」
「しかも五センチだけって」
「後は全部結構だから」
 私としてはです。
「いいの」
「そうなのね」
「やっぱりちっちって無欲ね」
「まあちっちがいいんならね」
「私達も言うことないわ」
「そうなのね、それにね」
 私はさらに言いました、食堂のお料理も美味しいです。
「家族も皆健康だしね」
「そちらも結構なのね」
「ちっちも健康だし」
「それにもう彼氏いるしね」
 ここでこんなことを言う娘が出てきました。
「将来のお婿さんが」
「そうそう、いるわよね」
「だったらもうね」
「将来の不安もないわね」
「教会を継いでくれる人もいるから」
「そんな人いないわよ」
 今のやり取りには首を傾げさせて返しました。
「私には」
「やっぱりそう言うし」
「ちっちがそう思ってるだけよ」
「その子ともっと仲良くなったら?」
「それで優しくしてあげるのよ」
「一体誰のことなのよ」
 本気でわからないので皆に聞きました。
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