最終章 みんなが幸せでありますように
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て魔法陣を解除するまで。と、開き直ったか、シュヴァルツは振り向きざまにアサキへと剣化した左腕を突き出した。
アサキの顔が激痛に歪んだ。
数メートルの狭い魔法陣の上であるが、攻撃を避けられるだけの空間はあった。しかしアサキは、あえて避けなかったのだ。
赤い魔道着ごと胸に深々と剣が、つまりシュヴァルツの腕が突き刺さって、背まで突き抜けている。
宇宙延命阻止を阻止しようとする小癪な赤毛の魔法使いを、今度こそ葬りさろうとシュヴァルツは左の剣を引き抜こうとする。
だが、引き抜けなかった。
自らが突き刺したアサキの胸に剣化した左腕はがっちりと咥えられており、ぴくりとも動かすことが出来なかった。
その、剣化した左腕の色に変化が生じていた。色の変化というよりは、透明な膜で何重にもくるんだかのような状態という方がより正しいだろうか。
変化は剣化した左腕だけではない。その透明膜は、どんどんとシュヴァルツを侵食して、あっという間に全身を包み込んでいた。
背負うヴァイスはなんともなく、あくまでシュヴァルツのエネルギー体のみが、透明膜が幾重にも重なった白い繭の中に包まれていたのである。
「本当は、あなたとも一緒に、この世界を救うことを考えたかった」
というアサキの言葉が、悲しくも毅然とした声が、まだ終わらぬうちであった。
大爆音が生じたのは。
大激震が生じたのは。
シュヴァルツの中、彼女の形状をした白い膜の中で、大爆発が起きているのだ。
爆発が爆発を呼ぶ。
爆音やまず、激震収まらず。
果たしてそれがどれほどの威力であるのか立っていられぬほどの地の揺れであるというのに、しかしシュヴァルツの形状をした繭にはヒビ一つ入っていない。
アサキの魔法が星を砕くような破壊力の爆発を起こし、アサキの魔法が繭状の障壁を作ってシュヴァルツを封じ込めつつ周辺被害を防いでいるのである。
揺れも爆音も、やがて段々と収まっていった。
やがてピシリと、シュヴァルツの形状をした繭に亀裂が走った。
ぼろり砕けて落ちて中が覗くと、内部は空であった。
シュヴァルツの肉体も、エネルギー体も、そこには存在していない。ほのかに立ち上る灰色の煙が、細かな粉末が、唯一の生存痕跡といえるものであった。
その繭も砕けて散ると、地には一人の少女が倒れている。
ふんわりした白い衣装を着た少女、ヴァイスである。
トレードマークたるふんわり衣装も半分以上が溶けてしまっており、真っ白な肌が覗いており、半裸といっても過言ではない格好で、身体を丸めたまま意識を失っている。
シュヴァルツの槍化した左腕に胸を刺し貫かれていたはずであったが、現在その傷跡はどこにも見られない。溶けた服から覗くのは、白く綺麗な肌である。
いつの間
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