最終章 みんなが幸せでありますように
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い。魂を爆発させて突き進む。
ナディアの意思へと。反応素子が恐ろしい速度で揺れ回転している、渦中へと。
「血は繋がっていないけど、それ以上に絆の繋がっている、素敵な両親の娘で!」
「死ね!」
己を削り取ったかのような怨念の大爆発、大爆音、真っ黒な爆炎……の中からアサキが飛び出した。
「それに負けないくらい素敵な友達が、仲間がいる!」
強く握った剣を頭上へ振りかざした。
「こんな、ことが……こんなはずが!」
「我孫子市天王台第三中学校、二年! 令堂、和咲だああああああああああああああああああああ!」
怨念の爆炎を眩い輝きで吹き払い吹き飛ばしながら、赤毛の少女は両手の剣を振り下ろした。
新たに生じた大爆発、それはさながら超新星であった。
物理、精神、転造されたアサキの肉体も含めてすべてのものが溶け崩れ、すべては、その真っ白な光の中に、さらさらと溶けていったのである。
14
宇宙。
真っ白な光にすべての物質は溶けて、アサキの意識は、無限に広がる宇宙そのものになっていた。
広大な時空が自身であり、一点凝縮されたマクロが自身であった。
無限空間記憶層が記憶であり頭脳。それはすなわち、輪廻も含めすべての因果を理解することに他ならなかった。すべての過去を知ることに他ならなかった。物理どころか概念分岐という可能性の無限を、一文字に理解することに他ならなかった。
宇宙創生よりの時空内全座標における過去を、全座標における陽子の流れを、すべての物質の陽子減衰の流れを。
自然空間における歴史を。
文明の築かれた歴史を。
全宇宙にかつて存在した全生命の記憶。原初生物すらも例外なく。
すなわち涅槃。
そのすべてを理解していた。
宇宙と時の流れとは、肯定を否定し否定を肯定するものであるという真理を。
確かにすべては真実だった。
宇宙の寿命が近いことも。
広大なこの空間、無限の時が宇宙であり、上下、心や闇もまた宇宙である。そんな概念と化したまま場所も時も分からずただ意識を存在させているうちに、ふと光が見えた。
それは、希望であった。
ナディアの意思は語り掛ける。
神である、と。
あなたは神であった、と。
神は敗北するはずもなく、すなわちわたしは神ではなかった、と。
なんと小さなことにとらわれた思考であったことか。二千億もの時を生きた存在が。
身体をなくした、いや宇宙全体を身体とした状態で、無を漂わせながらアサキはそう思っていた。
でも、それはそれで良いのかも知れない。小さくても。
けれど間違っている。
わたしは神じゃない。そんな力は欲し
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