最終章 みんなが幸せでありますように
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「ならばどうする?」
アサキの全身がびくびくっと激しく痙攣した。襲う電撃の強度が増したのだ。
合成生物でなかったら、心や魔力が大きく成長していなかったら、この超魔道着でなかったら、いずれが少し欠けていても一瞬で消し炭になっていたかも知れない。
とはいえ、一方的な攻撃を受け続けていることに変わりはなかった。
ただし、焦っているのはナディアだ。
「神にもなれず、人間ですらない、何者だ、お前は」
焦りつつも、あざ笑おうとするナディアの意思。
「人間、だ……わた、しは……」
アサキのその悲痛な声を、悲痛な思いを、
「すべての、なり損ないだ!」
ナディアは嘲笑する。
自分を肯定するために。
「最後に、お前に生まれてきた意味をやる。死してわたしの糧となれ!」
その言葉の直後に起きたこと、それは爆発であった。
星を歪めるほどの。
地軸を狂わせるほどの、爆発であった。
確実な死をアサキへ与えるため、ナディアが自らの存在を触媒に攻撃エネルギーを激増させて物理層精神層、周囲すべてを吹き飛ばしたのである。
反応素子が激しく流動し、もうもうとした爆炎の連鎖が起こる。
惑星を粉微塵に吹き飛ばすかのような、獄炎。それはさながら二千億年近くも存在したナディアの怨念。自らを崩壊させながらも、膨れ上がっていく圧倒的な力。
濃密な闇が激しく爆発する連鎖の中へと、赤毛の少女の身体が儚く飲み込まれていく。
理の当然が起きただけであるという、ナディアにとって勝ち誇る価値もない戦いが、こうしてようやく終わっ……ては、いなかった。
反応素子がばりばりと震える。
それはナディアの動揺、狼狽の念であった。
理由はすぐに分かる。
飲み込まれて朽ちたはずのアサキが、
「うあああああああああああああ!」
絶叫しながら、獄炎の中からその姿を見せたのである。
ボロボロになった真紅の魔道着、両手に剣を持って、その全身を眩いほどに輝かせながら。
「お前は……」
上擦った、ナディアの声。
「お前は誰だ! 何者だ!」
ごお、と凄まじい風が巻き起こる。
それはナディアの、感情というべきか。
怒り、焦り、驚愕、悲しみ、濃密な負の感情に満ちたさらなる爆発がアサキを襲う、だが……
「さっきからいっている!」
その爆炎の中からも、アサキは剣で闇を切り裂きながら飛び出していた。
「わたしは、人間だと!」
反応素子が荒れ狂う闇の風の中を、叫びながら突き抜ける。
どうん、どうん、爆発の中を、赤毛をなびかせながら。全身を、魂を、激しく輝かせながら。
「十四歳の女の子で!」
突進の勢いは止まらな
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