最終章 みんなが幸せでありますように
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ったりとした様子で頬が背中に張り付いているのだが、よく見ると接触面が溶けて癒着している。
融合しているのだ。
さらなる強化をするために。
だけど、
いや、だからこそわたしは……
「負けるわけには、いかない!」
剣化したシュヴァルツの重たい振りを、アサキは片手に握った剣に渾身の力を込めて弾き上げた。
2
そうだ。
ここで負けるわけには、いかないんだ。
宇宙が、とか、そんなことよりも、ただ友達を、ヴァイスちゃんを、取り戻すために。
ぶん、
頭上から、シュヴァルツの剣化した腕が真空切り裂いて落ちてくる。
アサキは自分の振り上げた剣の重みに引っ張られておりすぐさま防御姿勢に戻れなかったので、咄嗟に左手の甲で弾いた。
弾きつつ後ろへ飛び退き、飛び退きつつ右手の剣を投げ付けた。
投げた剣はあっけなくシヴァルツに叩き落されたが、構わない、生じた一瞬の隙にアサキは地を蹴り全力で飛び込んでいた。
自ら開いた距離を自ら瞬時に詰めると、身を低く、大きく踏み込みながら右の拳を打ち出した。
地がどんと震える。
破壊の魔力を集中させたアサキの拳が、シュヴァルツの腹に深くめり込んでいた。
そしてそこからの、
「せやっ!」
カズミ師匠直伝のハイキックが、側頭部へと決まった。
赤毛の少女の小柄な身体から繰り出される重たいコンビネーション技に、ぐらつくシュヴァルツのエネルギー体であるが、さほどのダメージを与えることは出来なかったようだ。シヴァルツはよろめきながらも剣化した左腕を振り回して、すぐさま反撃に転じたのである。
右手から小さな五芒星魔法障壁を張って身を守るアサキであるが、咄嗟のことで踏ん張りがきかず魔法障壁ごと地へと叩き潰されてしまう。
だがただでは起きないアサキ、地に伏せられた瞬間にシュヴァルツの腕を掴んで押さえ付け、同時に、ほぼ指の再生を終えた左手のひらを地へと当てた。
非詠唱。
地に伏せたままアサキの身体が輝くと、地面に直径三十メートルはあろうという巨大な五芒星魔法陣が出現していた。
輝きが地から剥がれて膨らんで、空間を半球形に覆っていた。
危機を感じたのかシュヴァルツはヴァイスを背負ったまま飛び立って、半球形の壁を突破しようと身を突っ込ませる。
「逃さない」
アサキの声と同時に、半球形魔法陣の僅か内側にもう一つの半球形魔法陣が出現した。
張られた二重の障壁がバチバチ放電しておりシュヴァルツは無理せずに後ろに下がるが、アサキは手を緩めず連続で魔法陣を作っていく。数百の半球魔法陣が重なるその中心つまりアサキのいるところへと、あっという間にシュヴァルツは戻され追い込まれる格好になった。
ならば術者を殺し
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