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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第六十話 雌伏
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い。現在まで無事にアムリッツァを治めている事の方がすごい事なのに…。
「ロボス提督は戦いたがっている、と思うかね?」
「まあ要塞攻略戦の方がインパクトはありますからね。長年の攻略目標でしたから。それに比べるとアムリッツァ進駐は少し派手さに欠けるというのは否めません…とんでもなくすごい事なんですが、ロボス提督は自ら戦ってはいませんから、忸怩たる思いがあるのかもしれません…」
「そうか、やはり君もそう見るか…ところで、ここへは何しに来たのかね?高等参事官」
「…高等参事官、それです。この役職は何をすればいいのかと思いまして。前任者もいませんし、調べても何も資料がありません。それでこちらへ任務の内容を聞きに来た次第でして」
「何もしなくていいのだ。高等参事官という役職も、便宜上のものだ。無任所の准将など居ては困るからな」
…え?もう俺窓際なの?戦争しなくていいのはありがたいが、仕事がないのは困る…一応…。
「何もしなくていいと仰られても」
「困るかね?私も困っているのだ。誰も君を使いたがらない。それに君と居ると目立つしな」
え、ぇえ!?
「昨年の作戦の修正案を出したのが君とマスコミにばれただろう?あれはバレたのではない、トリューニヒト国防委員がリークしたのだ。そして君は今や同盟軍最年少の准将…。一週間ずれているとは言っても二階級特進の様な物だ。私は抑えたが、そのトリューニヒト氏から推薦があったのでは仕方がない。将官人事は国防委員会の専権事項だし、ましてや君は将官推薦者だ。そして今の政局はトリューニヒト氏を中心に回っているからな…結果として国防委員長も勝ち馬に乗った。ここまで聞けば分かるだろう?」
なんだ、俺は被害者じゃないか…。
「はあ、ひどい目にあっているというのは分かります」
「ひどい目に、か。確かにそうだな……話を戻すと、今、君より上位の者達は君を恐れている」
何故だ?なんかひどい事したか?確かに思いつきの作戦だった、だけどそれはこの先の同盟の惨状を知っているからだ。艦隊戦力はフル編成、ラインハルトはまだ台頭していない、同盟が帝国をどうこう出来るチャンスはこの時期を最後に無くなるんだよ…。イゼルローンを落としてアムリッツァを占領、占領政策もうまくいきつつあるし、功績のあった者はみな昇進、主戦派とか良識派とか気にせずウィンウィンじゃないか…。
「…何故でしょうか?」
「皆、自分が君を使いこなせないのではないか、と考えているのだ。考えてもみたまえ、今の状況を作り出したのは君なのだぞ、言わば同盟のヒーロー、英雄だ。その英雄から進言があった時、拒否できるかね?部下に居れば居たで成功すれば英雄のおかげと言われ、失敗すれば自分のせい…指揮官として、そんな部下を持ちたいと思うかね?」
うーん…。そんな部下がいたら俺は大歓迎なんだけどなあ…
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