蒼い悪魔の終演
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
に慄きながらも、ハルトはトレギアの次に注意する。
だが、すでにトレギアはすでにその準備を終えていた。
「はあっ!」
トレギアの手から放たれた水色の光弾。低威力の代わりに即効性に優れたそれは、ハルトの体を弾き飛ばし、瓦礫の中に放られた。
「がはっ……!」
痛みに血を吐くハルト。
トレギアはさらに、追撃とばかりに、直接ハルトを叩こうとする。その腕でハルトの胸を貫こうとし、ハルトはギリギリで転がり避けた。
アスファルトに全身を打ち付け、ハルトの視界がさらに揺らぐが、一瞬その目が瓦礫の合間に光るものを捉えた。
「これは……?」
その詳細がハッキリとしない。
それでもハルトは、その光へ手を伸ばした。
掴んだそれ。ハルトに返って来るその手触りは、ハルトが欲して止まなかったもの。
「指輪……!」
今この手にある、たった一つの切り札。
その指輪を掴み、考えるよりも先に指にはめ、腰のベルトに通した。
ハルトにも分からない、発動した魔法。体を魔法陣で包むその魔法は。
『スメル プリーズ』
臭気の魔法。
他ならぬハルト自身、使い道が分からないと断じた魔法だが、それは今。
「う……ぐっ……ああああああああっ!」
目と鼻の先に接近したトレギアの直接攻撃を鈍らせ、それどころかよろめかせた。
突然の嗅覚へ訴えるそれへ、トレギアは自らの顔を掴ませ、大きく振りまわさせた。
「地球人風情がああああああああっ!」
逆上したトレギアだが、すでに逆転の芽は立っていた。
指輪がない現在、ハルトが持ち得る最大の戦力は、ただのパンチ。
だが、それは互いに満身創痍のこの状況下では、絶大な威力を発揮した。
トレギアの顔面を大きく歪め、そのまま殴り飛ばす。
頬を殴り飛ばし、トレギアを数回跳ねさせたそれは、ハルトの腕さえも動けなくさせていた。
「はあ……はあっ……はあッ……!」
少しずつ、ハルトの息を吐く音が大きくなっていく。ゆっくりとハルトは顔を上げ、
___その赤い眼で、トレギアを睨む___
「これで……終わらせる……!」
ふらふらの体で、そのまま駆けだす。
そして。
「はあっ!」
短い叫びとともに、ハルトの腕がトレギアの胸に突き刺さった。
ウィザード、そして……
残った魔力を込めた一撃。
トレギアの胸に点灯する、カラータイマーと呼ばれる発光器官。ウルトラマンの命と呼んで差し支えない器官を、ハルトの腕は貫いていた。
「ぐはっ!」
トレギアが悲鳴を上げた。
胸を貫かれた彼は、そのままハルトの肩へ顔を持たれかけさせた。
手に残る、手応え。トレギアという生命体の命を貫いた感覚が、ハル
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ