蒼い悪魔の終演
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もが、空気の中に溶け出していく。
そしてトレギアは、その姿を、暗い闇の蒼から、清廉な水色へと変わっていった。その姿を、ハルトは一度だけ見たことがあった。
かつて、可奈美とともに地下での戦いに赴いた時、彼は一時的に彼が全ての力を失ったのだ。彼が内側に秘めていた強大な怪物、グリムド。それをセイバーのサーヴァント、煉獄杏寿郎が討伐した際、一時的に力を失ったトレギアがこの姿になったのだ。
「その姿は……」
「これは……!? 嫌だ……嫌だ嫌だ嫌だ!」
トレギアは叫び、狂い、両腕を大きく振る。
水色の彼の腕から放たれた斬撃が、瓦礫の山を破砕し、爆発を生じさせていく。
「見るな! 見るなああ! 今の私を、見るなあああああああああああっ!」
いつになく感情的に、トレギアは叫ぶ。
今までいやらしく正確に攻撃してきた彼にしては珍しく、見境ない攻撃。吹き飛ぶ瓦礫は、ハルトよりもむしろトレギア自身を傷付けていく。
「ぐっ……トレギア……お前、自分の姿がそんなに嫌いなのか……?」
それを見た途端、ハルトの頭にコンプレックスという単語が思い浮かんだ。
自分で自分を嫌う理由は様々にあるが、なぜか彼はそれを抱いていたのではないかと思えてしまった。
「お前……以前、紗夜さんを狙ったのって、それが理由……?」
「よくもやってくれたね……ハルト君……!」
トレギアはそう言って、ハルトを睨む。
その水色の丸い目は、綺麗な色合いではあるが、今は怒りに滲み、濁っているようにも見えた。
ハルトの推測が当たっているかは分からない。だが、彼の事情に関わらず、このままトレギアを放置することはできない。
ハルトは汗を拭い、息を吐く。肩を強く叩き、外れかかっていた肩を元に戻す。
そして。
「トレギア……もう、終わらせよう……お前のやってきたことも……お前の苦しみも……全て……!」
バチバチと燃える音が響く中、ハルトのはっきりとした声はトレギアにも届いたのだろうか。
ハルトは大きく息を吸い、駆け出す。
トレギアの無差別な攻撃に対し、ハルトはスライディング、バク転を始めとした動きでトレギアの攻撃を回避し、その距離を急速に縮めていく。
「松菜ハルトオオオオオオ!」
吠えるトレギア。
もう、永遠にあの仮面を付けることはないであろう、彼本来の顔。
水色の瞳は、もう今までのような陰湿さなどない。ただ、真っ直ぐハルトへ怒りを向けるだけだった。
一方、ハルトには、指輪もなければソードガンもない。残っている魔力を活用する手段がまるでなく、ただ純粋な体だけで戦わなければならない。
ハルトの蹴りと、トレギアの手刀。
二つがぶつかり合い、互いに絶妙なバランスでそれぞ
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