蒼い悪魔の終演
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「ぐっ……」
瓦礫を退けたハルトは、フラフラになりながらも立ち上る。
イリスより落ちてきたウィザードとトレギアは、至近距離で互いに必殺技をそれぞれに押し付け合いながら落ちてきた。
至近距離のトレラアルティガイザーを何度も受け、ハルトの体力はほとんど限界になっていた。全身のいたるところが出血し、左肩の感覚が時折失われ、さらに視界さえもぼやけることがある。
「かなり落ちてきたな……」
ハルトは左肩を抑えながら、目を擦る。切れかかっている蛍光灯の光を頼りに、落ちてきた穴を見上げた。
イリスの姿が見えなくなるほどの深さ。ほとんどの車が瓦礫で潰された駐車場で、ハルトは再び変身しようと指輪に手を伸ばす。
だが。
「……指輪が、ない……」
トレギアとの戦闘中に、ホルスターが破壊されたのか。
変身用指輪も、魔法用指輪も全て、ハルトの周りから無くなっている。瓦礫の合間を探そうにも、視界の悪さと瓦礫の密度により、思うように進まない。
「ウィザード……!」
その声に、ハルトは身構えた。
瓦礫を押しのけて現れるトレギア。
「まさか、君と二人きりになるとはね……」
トレギアはそう言って、その両腕にトレラアルティガイザーを身構える。
ウィザードに変身出来ない今、あの技を受けるのはまずいと、ハルトは回避に動こうとする。だが、踏み出した足がハルト自身の体重を支えられない。痛みにバランスを崩し、その場で蹲ってしまった。
「しまっ……」
咄嗟に身構えるが、生身の人間が果たしてトレギアの攻撃に耐えられるだろうか。
だが。
「……?」
その事態に、ハルトは困惑を浮かべた。
両手を大きく上げたまま、トレギアは動かない。やがて思い出したかのように、その全身からは火花が飛び散り出した。
見てはっきりとわかるほどの、ストライクウィザードの魔法陣。彼の体に無数に刻まれる魔法陣から、それは連続的な爆発を引き起こす。
そうして、大きく倒れ込んだトレギアは、全身が大きくボロボロになっていた。
「バカな……!」
全ての装備が次々と砕け、やがてその特徴である仮面にも大きくヒビが入っていく。
「そんな……っ!」
トレギアは自らの面を抑える。仮面が落ちていくのを防ぐように必死で食いつないでいるが、素手で割れた仮面を抑えられるはずがない。
やがて彼の抵抗も虚しく、仮面の亀裂はどんどん大きくなっていく。すぐに中心から真っ二つに割れた仮面、トレギアアイは落ちていった。同時に、内包されていた怪物の力も霧散し、消滅していった。
「あ……ああっ……!」
トレギアが悲鳴を上げるごとに、彼の体から、仮面の力が抜けていく。
深い蒼も、黒い体の武装も。何もか
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