暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第133話:目は曇り、耳は塞がる
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いと、切歌が透にクリスの制止を願った。勿論彼は先程からクリスを落ち着かせようとしているのだが、どう言う訳か今のクリスは透の声なき言葉にも聞く耳を持ってくれない。
 仕方がないので、透は取り合えずクリスの動きを止めようと後ろから彼女を羽交い絞めにして止めようとした。

「放せ透、邪魔すんな!?」

 引き金に指を掛けながら、透を振り払ったクリス。

 その衝撃で、銃弾を吐き出しながら振り回された砲身が調の方を向いた。

「!?!?」

 気付いた透が手を伸ばすが、この位置からでは間に合わない。このままでは銃弾が調を蜂の巣にしてしまうと危惧した次の瞬間、切歌のアームドギアが下から掬い上げるようにクリスのガトリングの砲身を持ち上げ射線を強引に変更させた。

「透先輩の言葉も、聞こえないんデスか?」

 透がクリスを宥めようとしていたのは、我武者羅な攻撃ではレイアを捉えられないからだけではない。あんな攻撃を続けていては、味方をも巻き込んでしまうからだ。
 クリスの攻撃は殊更に火力と範囲が大きい。だからこそ彼女には、冷静な行動が求められた。これまでは透が彼女のストッパーとして働いていたので、危険な事態には陥る事は無かった。

 それが今回はこれだ。恐れていた事態、クリスの考え無しの攻撃が味方を巻き込んでしまうという事が、あと一歩のところで起きる寸前だった。クリスがもう少し落ち着いていれば、或いは透の声に少しでも耳を傾けていれば、こんな事にはならなかったというのに。

「ぁ――!?」

 言葉を失ったクリスを、切歌の非難するような目が射抜く。思わず透に目を向けるが、今の彼は変身している為顔が仮面に隠れており見えない。
 だがクリスは、切歌同様透が自分を責める目をしているような気がして視線を逸らした。顔向けできないとは正にこの事か。

「ッ!? アイツらは!? 何処に消えた!!」

 逃げるような視線を誤魔化す様に、クリスはキャロルやレイア達を探すが彼女らの姿は何処にもない。

 少し辺りを見渡せば何処からどう逃げたのかは一目瞭然なのだが、視線を逸らす事を目的としているクリスには”それ”が見えなかった。

「きっと、ここから……」

 そこには錬金術で空けたのだろう大穴が床に開いており、キャロル達がここから逃げ出したのだろう事は明白であった。

 こんな目立つ大穴にも気付けないほど、今のクリスは目が曇っていた。

「……逃がしちまったのか」
「ごめんなさい。ウェル博士に対しては、どうすればいいのか分からなくって……」
「でももう迷わないデス! 皆で力を合わせて、今度こそ――」

 意気込みを新たにする切歌は、最悪ウェル博士を相手に強硬な手段に出る事も覚悟していた。

 だがクリスは、そん
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