暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第133話:目は曇り、耳は塞がる
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「……アタシの一発を止めてくれたな?」
「フーン?」

――透と後輩の前でかかされた恥は、百万倍にして返してくれる!!――

 1人怒りに震えるクリスの異変に気付き、透が彼女の肩に手を置く。ウェル博士にはフロンティア事変の時に色々と大変な目に遭わされたが、それとこれとは別問題。ウェル博士の中で特別な部位は左腕だけなので、それ以外の箇所に必要以上に暴力が降りかかれば彼の命が危なかった。

 一方で、切歌と調は複雑だった。確かに今使っているLiNKERに比べ、以前ウェル博士が生成したLiNKERは体によく馴染んだし調子が良かった。了子を馬鹿にする訳ではないが、了子が手探りで調整したLiNKERはウェル博士手製の物に比べ劣っていると言わざるを得ない。

 その秘密を聞き出すという意味では、ここでウェル博士を失う訳にはいかない。だがウェル博士が居なくても、こうして戦えるだけのLiNKERが手に入るのは事実。これから時間を掛けていけば、了子も彼に匹敵する出来のLiNKERを作り出せる可能性はあった。
 そう考えると、ウェル博士の優先度は正直そこまで高くはならないと言うのが切歌と調の評価であった。

 勿論だからと言って無暗に彼の命を奪って良いという事にはならないが。

「あの、クリス先輩?」
「で、出来ればその、穏便に……」

 故に2人は、透に比べるとかなり控えめにしかクリスを落ち着かせることが出来なかった。

「そうですよ! 物事は穏便に済ませましょう。僕が失われれば、今よりも高性能なLiNKERは永遠に失われてしまうぞぉ!!」

 だというのに肝心のウェル博士は、無駄にテンション高くクリスの神経を逆撫でする様に彼女の事を指差した。彼の挑発するような言葉に、クリスは透の制止を振り切ろうとしている。

 そんな状況を動かしたのはキャロルであった。言うまでも無い事だがここにクリス達が居る最大の目的はキャロルであり、今の今まで戦っていたのに突然現れたウェル博士により一時忘れられてしまっていた。

「ぽっと出が、話を勝手に進めるな」

 自分を無視して話が進んでいる事に苛立ったのか、キャロルはアルカノイズの召喚結晶をばら撒いた。

 次々と現れたアルカノイズは、今のクリスにとって最高の八つ当たりの相手となった。

「鬱陶しいんだよ!!」

 クリスが両手に持ったガトリングが火を噴き、アルカノイズを蜂の巣にしていく。
 自分に向けて飛んできた銃弾に、ウェル博士は慌ててキャロルを盾にした。それは分かっていたのかどうかわからないが、それにより彼はキャロルが張った障壁に守られクリスの銃撃を防ぐこととなる。

「うひひひゃひゃひゃぁぁぁっ!?」
「……その男、識別不能。マスター、指示をお願いします」

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