第2部
ダーマ
シーラの試練・前編(シーラ視点)
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方が多かった。今のあたしがあるのは二人のお陰でもある。この二人には感謝してもしきれない。
でも、そんな生活を何年か続けてきて、次第にこのままでいいのかと疑問に思うようになった。二人に庇護されていたあたしは、ダーマにいるときと全く変わってはいないのではないかと考えるようになったのだ。
でもそんなことを二人に言ったら、きっと自分のことを放り投げてあたしのことを心配するだろう。あたしのせいであたしの大好きな人の人生が疎かになるのは嫌なんだ。
ちょうどその頃、アリアハンで勇者……つまりユウリちゃんが魔王を倒すというお触れがアッサラームまで届き、当然あたしの耳にも入る。最初は他人事のように聞いていたが、ふと、そんな大それたことをする勇者という人物がどんな人なのか、気になった。
動機は本当に単純で、興味本位でしかなかった。魔王と戦うとか、そんなことこれっぽっちも考えてなくて、思い立ったら即実行のあたしはすぐにアルヴィスたちに別れを告げると、一人アリアハンへと旅立った。
実際ルイーダの酒場でユウリちゃんを見たとき、あたしと同じように皆に期待されていて親近感を覚えたのだが、彼の第一声でその印象はガラリと変わった。歯に衣着せぬもの言いで、人望を一気に失うその姿に、同情すら芽生えた。
本来ならそこであたしとユウリちゃんの出会いは終わるはずだったのだが、なんやかんやで一緒に旅をすることになって、あたしの人生は再び変わった。
きっかけはなんであれ、今あたしがここにいる理由は、あたしがここにいたいと決めたからだ。やっと見つけた自分の居場所を、こんな形で失いたくない。だから、ここで引くわけにはいかないんだ。
「おーい、交代の時間だぞ」
眠たそうに呼ぶ声に振り向くと、やっぱり眠そうに目蓋を擦っているナギちんの姿があった。
「なんだぁ、まだ寝ててもいいのに」
まだ夜明けまで大分時間があるはず。あたしの体内時計は割と正確なのだ。
「今日はお前のお陰で戦闘に勝ったようなもんだしよ。……たまにはお前も休めよな」
照れているのか、最後の方は尻すぼみになりながらも話すナギちんがなんだか可愛く見えて、あたしは思わずにやけてしまう。
「大丈夫だよ♪ あたし夜起きてるの得意だし」
なんてヘラヘラしながら答えてると、いつになく真剣な表情でナギちんはあたしを見つめていた。
「……オレ、知ってるからな。お前が本当はクソ真面目な性格なこと」
「へっ!?」
予想外な言葉に、あたしは心臓がどきりと反応した。
「そんでもって自分に厳しくて、無理するところな。自覚してないかもしんねえけど、半年近く一緒にいりゃあ気づかない方がおかしいっつうの」
ナギちんの指摘に、なぜかあたしのこめかみから冷や汗が伝い流れてくる。おかしいな、全然そんなことないんだけど?
「
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