第八十二部第四章 破竹の進撃その四
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「それでもです」
「軍の中核になってくれますから」
「是非です」
「今は学び身体を鍛え」
「将来の糧にしてもらいましょう」
「是非」
厳しいが暖かい目で彼等を見つつ言う、そして。
ふとだ、教官の一人がこんなことを言った。
「ただです」
「ただ?」
「ただといいますと」
「はい、どうもです」
その教官は中尉だった、アジア系の顔で緑茶を飲んでいる。
「むしろ今の教育は」
「士官学校の教育ですか」
「それについてですか」
「言われますか」
「はい、日本の海軍兵学校は」
かつて日本にあったこの士官学校はというのだ。
「今より遥かに厳しかったとか」
「ああ、あの学校ですね」
「日本に存在した」
「あの士官学校はそうだったそうですね」
「兎角厳しく」
「余裕もなかったと」
「まさに常在戦場」
学校自体を戦場つまり軍艦の中と見立ててだ。
「そうした教育だったかと」
「かなりのものだった」
「そうだったのですね」
「あの学校は」
「海軍兵学校は」
「このレベルでなかった」
「遥かに厳しかった」
まさにというのだ。
「規律もでしたね」
「今の中央政府軍より厳しかった」
「まるで刑務所の様だったと」
「そこまで厳しかった」
「その様ですね」
「そう思いますと」
まさにというのだ。
「今の士官学校は」
「かなり甘いですか」
「日本の海軍兵学校と比べると」
「あの厳しさと比べると」
「甘いものですか」
「そうかと。何しろ学生達はここでお茶を飲む」
今彼等がそうしている様にだ、店の外では散歩をしている者もいるし中庭でくつろいでいる者達もいる、部活の前のほんの一時を確かに楽しんでいる。
「それ位の時間はありますから」
「それだけでも違いますね」
「全く以て」
「部活があれども」
「それでも」
「そうですね、ですが戦場では」
ここでこの場所の話にもなった。
「休憩なぞ」
「到底ですね」
「それは出来ませんね」
「出来るものではない」
「命、勝敗がかかっていますから」
「休む間なぞない」
まさにというのだ。
「常に緊張状態にあり」
「一瞬でも気を抜けば」
「その時はどうなるかわからない」
「それで、ですね」
「この士官学校はまだ余裕がありますね」
「どうも」
「左様ですね」
「今のオムダーマン軍とティムール軍は」
その彼等はというと。
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