敢闘編
第五十九話 思惑 V
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した戦費が余っているのだ。軍は金食い虫だ、そこから金が戻るとなれば各委員会が飛び付くのは当たり前の話だった。まあ景気のいい話ではある。でも一つ問題があった。軍の余った金を振り分ける、という事は、改革案が軌道に乗るまで軍は帝国との戦争を損害軽微で切り抜けなくてはならない、という事だ。全くとんでもない、そんな保証は無い上に、改革案を言い出したのはトリューニヒト…国防委員会だから、言い出しっぺの責任と面子がある。戦争が不利なんで改革は無し、とはいかない。言ってみれば、軍をあげてトリューニヒトを支援する事になってしまったのだ。全くとんでもない話だよ。
そもそも、ヨブ・トリューニヒトとはどういう男なのか…。
原作での描かれ方ではよく分からない。主戦論者でただの巧言令色な扇動政治家ではいくら同盟の民主政治が末期的症状だったとしても最高評議会議長まで登りつめる事は出来ない。口が上手くても実績がなければどこかでボロが出るからだ。票田に軍という存在があったにせよ、ヤンさんやキャゼさんの様にトリューニヒトを嫌っている軍人だって少なからずいるのだ。となれば尚更何らかの実績がなければ政治家として生き残る事は出来ない。いくら主戦論を煽っていても、当時の同盟が戦争を優位に進めていた訳ではないし、美辞麗句だけでは軍人の遺族だってそっぽを向かれるだろう。まさにジェシカ・エドワーズの言った『あなたはどこに居ますか?』なのだから……まあ、俺は奴との関係が深い訳ではないからよく分からないし、あまり関わりたくもない。でもなあ、改革案にあるアムリッツァ星系の一項は俺とヤンさんのレポートの結果でもある…既に関わっちゃってるんだよなあ……ヤンさんは俺以上に不愉快そうだった…。
「ヤマト…さっきからどうしたの?ルーズソックスを見てから腕組んでウンウン唸って…もしかして好きなの?私も買おうかな」
違うんだエリカ、そうじゃないんだよ…まあエリカなら似合うのは間違いない。
「うん、君ならきっと似合うよ。後で買い物ついでに見てみようよ」
「そうね!…そういえば休暇、今月いっぱいだったよね?新しい配属先は決まったの?」
「いや、それがまだなんだ」
前線…アムリッツァに駐留する艦隊はしばらくの間はハイネセンには戻れないから、艦隊司令官や各級指揮官の転属、着任はイゼルローン要塞やチャンディーガルで行われる。要塞奪取後、最初にハイネセンに戻ったのは第八艦隊だった。第八艦隊はシトレ親父の直卒艦隊だったから、最優先でハイネセンに戻って再編成する事になった。彼等は二週間ほどの再編成と休養を経て既にイゼルローン要塞に向かっている。俺達宇宙艦隊司令部がハイネセンに戻ったのは三月に入ってからだ。ロボス親父は新しいスタッフで司令部を作りたいとの事で、宇宙艦隊司令部に留任した主なスタッフはギャバン少将だけだっ
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