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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第五十九話 思惑 V
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シュビー、アゲイン!”……通常の昇進で済む筈が、市民の声と自分の人気取りに利用しようとする輩の企みに負けた。そう、ヨブ・トリューニヒトだ。
『君がヤマト・ウィンチェスター大佐だね?噂は聞いているよ。五十年ぶりの将監推薦、ブルース・アッシュビーの再来…皆さん、彼こそ同盟軍最高の知将、軍の次世代を担う天才です!彼と共に暴虐なる圧政者達、銀河帝国を打ち破り、宇宙に秩序と平和を取り戻すのです!』
いつの間にか集められていた報道陣の前での握手、それを撮影するフラッシュのまばゆい光…最悪だった。突然の准将昇進への内示、通常なら統合作戦本部ビルで行われる筈の昇進式が、最高評議会の国防委員会会議室に場所が変更されていた時点で気づくべきだった…。更に不愉快な事が判明した、修正した作戦案を最高評議会議長に提出したのもトリューニヒトなのだ。もちろん国防委員長を通してだが…シトレ親父はどうやって修正した作戦案を国防委員会に認めさせたかについては全く口にしなかったから、まさか奴に打診したとは思わなかった…。
『前代未聞の作戦だからな。トリューニヒト国防委員の根回しに期待するしかなかった。まあそう不機嫌そうな顔をするな』
あんたはいい、だけど同盟がこれから先苦労する事になるんだぞ!…とは言えないしなあ…。
『トリューニヒト氏はいい意味でも悪い意味でも政治屋だ。利用できるうちは利用させてもらう』
悪人だ、シトレ親父は悪人だ!……まあそれでも欲望のままに動く悪人よりはいい、統合作戦本部長になった途端、周りがが驚く事をやってのけた。
『社会機構の弱体化を防ぐ為に軍から技術者を四百万人を民間に戻す。その代替策として国内の軍の輸送や基地能力の維持、インフラの整備等を民間に委託する』と言い出してその計画スタートさせた。『後方勤務改革』担当者はキャゼさんだ。これにも当然トリューニヒトが絡んでいる。シトレ親父が言い出してそれをトリューニヒトが受けたとなれば、二人は一蓮托生という事なんだろう…まあ確かに民間に任せられる所は民間企業に任せた方が効率も上がるしサービスも良くなる。原作の様に同盟の負けが込んでいたら到底無理な話だ。トリューニヒトは財政委員会、人的資源委員会、経済開発委員会、地域社会開発委員会、天然資源委員会と協同で『同盟経済改革案』なるものを最高評議会に提出した。イゼルローン前哨宙域の民間への解放、軍の後方業務の民間への委託、国内の星系開発の再開、アムリッツァ星系への限定的な民間資本の導入…が主な内容だ。何の事はない、人気取りだが国防委員会だけではなく他の委員会も巻き込んだ物だから単なる口約束では済まない。背景には対帝国の戦争が優位に進んでいる事がある。ここ数年の戦争の状況が遭遇戦のみで推移したこと、イゼルローン要塞攻略、アムリッツァ進駐に伴う損害が軽微だったこと、要は国債で調達
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