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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第五十九話 思惑 V
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ありません」
「しかし非公式にそれをやれば、どこかで動きが見える筈だ」
「はい。極秘ではありますが公式に変更されております。当時、同盟軍第八艦隊司令官であったシトレ大将より国防委員ヨブ・トリューニヒト氏へ作戦変更の打診があったという事実が判明しております。当時この事を知っていたのは、トリューニヒト氏、同盟政府閣僚では国防委員長、最高評議会議長…以上三名だけです」
「トリューニヒト…同盟で人気のある政治家だな。しかし奴から打診されたとして、国防委員長はともかく、同盟の最高評議会議長がそれを飲むかね?」
「軍から提示された変更案に齟齬がなく、成功の度合いが高いものと認識したのだと思います。現実がそれを示しております。そしてその作戦が成功すればサンフォード政権が長期政権を築く事は確実です。サンフォード氏はそれほど優秀な男ではありませんし、我々の支援がなければ、その地位に着く事は出来なかった…奴は風見鶏的な動きをする男です、自分に有利な条件であれば一も二もなく賛成するでしょう」
「議長閣下はフェザーンからの短期的な利益だけではなく長期的な利益も得た、という事だな。それはいいとしても、トリューニヒトはただ働きではないのか。サンフォードがそうなら、現国防委員長も椅子をどく事はあるまい」
「トリューニヒト氏は少壮気鋭の政治家ではありますが今は一国防委員でしかありません。現在は人脈作りに徹しているのではないかと。軍、そして各委員会に自分のシンパを作る。辺境開発、新しい領土の開発…共に軍の力だけでは出来ませんから。そしていずれは国防委員長、最高評議会議長へ…考えられない事ではありません」
ふむ…そこまで考えているのなら、そもそもの発端、作戦変更を誰が言い出したか、だが…。
「そうだな、考えられない事ではない。だが発端は軍の作戦だ。シトレ大将は…今は元帥か、シトレという男はそこまで冒険的思考の持ち主ではなかった筈だが」
「仰る通りです。シトレ元帥は優秀ではありますが、同時に民主共和制が望み得る模範的な軍人、との評価を受けている男です。その思考は常識的な範囲に留まります。作戦を修正したのは…」
「ブルース・アッシュビーの再来、またはエル・ファシルの奇跡、どちらかではないかね?」
「お見通しでしたか…作戦を修正したのはヤマト・ウィンチェスター中佐…現在は一挙に二階級昇進して准将の地位にあります」
驚く演技はまだ下手な様だな補佐官…まあここまではいい。問題はここからだ。
「ウィンチェスター准将を含め、同盟政府ががどこまで青写真を描いているかは現時点では分かりませんが、このまま状況が推移しますと閣下の仰る通り同盟の国力が増大する事は間違いありません。先程申し上げたフェザーン企業による同盟への資本参加…思い止まらせた方がよいのではと愚考致しますが…」
「なぜか
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