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レーヴァティン
第二百六十六話 東に来てその十一

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「そこで楽しんでいるとな」
「思うんだな」
「そうなる」
「煙草にはそうしたこともあるんだな」
「そういうことだ」
「それは知らなかったな、そういえばな」
 久志は今度はトロを食べつつ話した。
「ヒトラーは煙草吸わなかったな」
「かなり嫌っていたそうだな」
「酒も飲まないでな」
 そしてというのだ。
「菜食主義者でな」
「ソーセージやレバーは食っていたとも言われているが」
「基本それでな」
 菜食主義者であったことは間違いないらしい。
「それでな」
「煙草もだったな」
「そんな人だったらしいな」
「特に煙草を寄せ付けず」
 そこまで嫌っていてというのだ。
「自分の前ではな」
「吸わせなかったらしいな」
「だから会議の時もな」
 当時は成人男子なら多くの者が喫煙していたがだ。
「煙草はなかった」
「そうだったな」
「もっと言えば当時の将官クラスの会議だと酒も出たが」
 ワインであったという。
「ヒトラーはそれも口にしなかったからな」
「随分独特だったな」
「それでだ」
 英雄は言った。
「あの男は特筆されていた」
「酒は飲まない煙草は吸わないってな」
「軍議でも一人だけそうだったからな」
 それでというのだ。
「目立って仕方なかった」
「そうなんだな」
「当時は本当にな」
「男は煙草吸ってな」
 久志は話した。
「酒だってな」
「欧州は酒は水替わりにだ」
「飲むことが多いな」
「ワインだけでなくビールもな」
「それで酒を飲まないからな」
「必然的にだ」
 彼だけがそうであるからというのだ。
「目立つ」
「そうだよな」
「だが俺達はな」
「皆吸わないからな」
「目立たない、逆に吸うとな」
 その煙草をというのだ。
「目立つ」
「そうなるよな」
「誰もがしていることをすれば目立たないが」
「していることをしないとな」
「目立つ、そういうことだ」
「ヒトラーは菜食主義者ならな」
 久志は彼のこのことも話した、諸説あるがドイツ軍の将軍グーデリアンの回想録では彼が実際に肉食を遠ざけた場面が書かれている。
「すき焼きも寿司もか」
「当然食わない」
「目立って仕方ないな」
「目立ってもいいなら構わないが」
「時と場合によって目立つべきでない時もあるからな」
「そうした時はな」
 英雄はトロ、ヒトラーが食べなかった魚を食べつつ話した。
「気をつけることだ」
「そういうことだな」
 久志も頷いた、そうしてだった。
 二人は仲間達と共にすき焼きと寿司それに酒を楽しんだ、この時もう西の浮島の者達はこの浮島にすぐに来られる様になっていた。


第二百六十六話   完


                   2022・7・15
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