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レーヴァティン
第二百六十六話 東に来てその八

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「お寿司のお酢だってな」
「米酢でないな」
「同じ調味料でもな」
「素材が違うとな」
「味も食感も違ってな」
 それでというのだ。
「どうしてもな」
「すき焼きや寿司を作ってもだな」
「決定的に違うんだよ」
「そういうことだな」
「ああ、だからな」
 それでというのだ。
「俺としてもな」
「すき焼きや寿司はか」
「それがわかってたからな」
「作られる者もいなかったしか」
「レシピはあってもな」
 それでもというのだ。
「違うものが出来る」
「それでか」
「言わなかったしな」  
 そのレシピもというのだ。
「それにだ」
「作らせなかったか」
「ああ、どんな料理も調味料が大事でな」
「調味料の食材が違うとな」
「同じものを作ってもだよ」
「違うものが出来る」
「そうだよ、だから日本で他の国の料理を作ってな」
 そうしてというのだ。
「その国の味を再現したと思っても」
「その国の人が食べるとな」
「違うって言われるんだよ」
「そういうことだな」
「本当にな」
 久志はすき焼きを食べる英雄に話した。
「そのことが大事でな」
「それでだな」
「こっちじゃずっとな」
「和食は食わなかったか」
「刺身はまあ食えたけれどな」
 こちらはというのだ。
「魚醤でもいいからな」
「こちらの醤油でもな」
「それはいいんだよ、けれどすき焼きになるとな」
「魚醤ではな」
「やっぱり違うだろうな」
「特に匂いがな」
「そうだよ、魚醤はあの匂いがだよ」
 このことはしょっつるにしろナムプラーにしろ同じである、魚醤と呼ばれるものは非常に独特の匂いがあるのだ。
「違っていてな」
「それでだな」
「すき焼きには使えない、それで寿司もな」
「酢だな」
「何ていってもこれが大事だけれどな」
 寿司はというのだ、元々馴れ寿司の代用品でありその酸味を再現しかつ保存も考えてそれで用いられているのだ。
「米酢じゃないとな」
「味が違うな」
「それだよ、間違っても林檎や葡萄だとな」
 そうしたものから造ったものではというのだ。
「違うだろ」
「そのことは想像に難くないな」
「ああ、本当にな」
 実際にというのだ。
「だから俺達もな」
「西の浮島ではか」
「すき焼きは寿司は食わなかったんだよ」
「そうだったんだな」
「そうだよ、しかし大豆の醤油でな」
 まずはすき焼きに使うそれの話をした。
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