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神葬世界×ゴスペル・デイ
第一物語・前半-未来会議編-
第十六章 青の雷竜《3》
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「どうしよっか、これから」
「……随分と冷静だな……」
「彼のやることは分かっていたからね。まあ、これを他人事で済ませはしないけどさ」
「一度教室へ戻ろう、東一番居住区域の大病院には後に行くことになるな」
「レヴォルフはそこに向かっているんだね」
 継叉の声に頷く飛豊は、皆に言う。
「よく聞け皆。これから先にあるもの、それは社交院との会議だ」
 この事態を起こしたことで、社交院は自分達は止めようとしたことを示さなければならない。
 黄森にそれを伝えるために。
 そしてその会議で、
「その場で、今後の未来について話し合うことになるだろう」
「だけど、長であるセーランはどうなるんですか?」
 ロロアの問いに、飛豊は答えを返す。
「怪我の具合を見たが、セーラン抜きの会議になるだろうな」
 雨が降る貿易区域のなかで話した。
 飛豊は雨の空を見て、
「戻ろう、ここにいても意味がない。加護で雨は防げても、体温の減少を防ぐ加護は高いから発動したくないし」
「え! 発動しないんですか、なら三割引きでどうですか!?」
「商売挟んでくるな!」
 指を三本立てた美兎に、飛豊は言葉を放った。
 それに傷ついたのか、涙目の美兎がこちらに訴えてきた。
「発動しないんですか?」
「そんなことしても無理なものは無理。観念してくれ」
「……そうですか」
 肩を下ろす美兎の後ろ、オールバックと長髪の金髪男女がいる。
「かわいそうに、でも職業には付きものよ!」
「ああ、気にすることはない。日来の営業者達がものを買わせようとしてるが、全て無駄に終わっているからな」
「商業区域に行ったら、一気に店の人が寄ってきたのはお前らのせいか!!」
「貧乏の奴の言うことを聞くなよ、耳が腐るからな!」
 ははは、と笑いながら逃げるように先に戻る二人の後ろ姿を見て、右の拳を飛豊は握り締める。
 あの二人、絶対目にもの見せてやるからな……!
 そう心に誓った。
 拳を握り締めている飛豊に、
「ほらペタン子さっさと行くわよ。ほらほらほら」
 背後から、灯が自身の胸を飛豊の背にアタックさせる。
 弾むように前に出た飛豊は、ため息にも似たものを吐く。
「ならさっさと行こう。午前なのにどっと疲れたよ」
「あら、皆もう行ったわよ?」
「早いな! てか、いつの間に!?」
 この場にいるのは、自分と灯だけだ。
 他の者達は既に先の方へ歩いており、自分達が最後となっていた。
 それを見て、慌て飛豊は彼らの元へ走り、灯は後ろから笑いを漏らしながら付いていった。
 皆の後ろ姿は何処か物悲しさを感じ、それを感じ取った皆はそれを口にはしなかった。
 黙って今は無理にでも笑おうと、そう思ったのだ。



 同日、午前十一時。
 辰ノ大花の艦は日来
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