第一物語・前半-未来会議編-
第十六章 青の雷竜《3》
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めに一つの大きな病院があるからね。そこにもう連絡はしておいたから、行けば大きな建物だから分かる筈よ」
「なら私がまた運ぼう」
「何分ぐらいだ」
飛豊の問いに、レヴォルフはすぐに答えた。
「横二キロの区域が二つ分くらいだろうから幾らもしないだろう」
それを飛豊は聞き、頷いた。
レヴォルフはそれを了承の合図だと察し、力無く倒れているセーランの身を持ち上げる。
人形のように動かない彼は、何かを悲しんでるように見えて、しかし何処か追い求めているようにも見えた。
彼の身体が大きく上下し、レヴォルフの背中に乗ったのだと確認した。
レヴォルフはこの場にいた飛豊の顔を見て、言葉を交わさずに飛んだ。
高さ十数メートルの大跳躍。
それが音を立てながら、見えなくなった。
飛豊は穴から出て、外の様子を目にする。
まず目にしたのは、黄森の隊員達が帰っていく様子。空を行く戦闘艦の幾つかはこちらに来たようだが、既に元の場所へと戻って行った。
次に、日来住民が帰っていく様子。
何かを言っているように見えるが、雨の音のせいで聞こえなかった。
最後に目にしたのは、青の戦闘艦へと戻る宇天の隊長だ。
長い髪を左右に揺らし、堂々と帰って行った。
それを見て、地に座るネフィアの前へ飛豊は近寄る。
「何うじうじしてるんだ、お前のやることは他にあるだろ」
言い、ネフィアの腕を取る飛豊の体に、ネフィアが飛び付いた。
それに慌てふためき、
「な、どうしたんだ!?」
「わたくし、責任感じやすい性分なので。……慰めて下さらない?」
「そういうのはあまり得意じゃないんだけどなあ」
苦笑いで済ませようとする飛豊の体に、ネフィアは絡めた腕に力を入れる。
「ちょ、お前! わ、解ったよ、お前は悪くない、だから元気だせ! これでいいか? いいなら腕を離すか、力を緩めてくれ」
「ふふ、慰め感謝致しますわ」
ネフィアは絡めた腕を離し、いたずらが成功したように笑った。
圧迫され上手く息が出来ない状況から解放され、飛豊は荒く短く呼吸をした。
その後ろ姿を見ていた飛豊の元に、足音の群れが来た。
足音の持ち主は、走りながらこちらへ向かう仲間達のものだ。
仲間達は、飛豊の周りに集まった。
「レヴォルフが長運んで行くのが見えたけど、どうなったんさ?」
「一応は大目に見てくれるように取引はした。だが、セーランの様子はあまり良くないな」
それを聞き、入直は表情を暗くした。
そうかい、と頷いただけだ。
「黄森の者達は監視に戻ったで御座るな」
「こんな茶番に付き合ってる程、暇じゃないってことでしょ」
そう言うのは、走っていてずれた帽子を正している継叉だ。
正し終えると、その両の手をズボンのポケットに突っ込んだ。
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