UNION
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、アカネはそれしか言えなかった。
こんな破滅を願っていたわけじゃない。ただ、今の生活が、世界が、自分が嫌だった。それだけだったのに。
だが、その願いを聞き届ける者はいない。
永遠の、孤独。永遠の、虚無。
何もない、退屈だけが支配する世界を、永遠の寿命を手に入れたアカネは、ただ一人で眺めていることしかできなかった。
「助けて……!」
溺れるような感覚。虚無の世界。
これが、永遠に続いていくという恐怖。
イリスの核たる眼が、嘲笑うようにアカネを見下ろしていた。複雑に絡み合った器官だが、その中心部にある瞳は、別の生命体だとはっきり認識できる。その目、おそらくイリスの意識本体だろう。その目が細まった。瞼が震え、アカネを嗤う。
そして。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
「……っくはっ!」
口に溜まったイリスの体液を吐き出す。
全身に重くのしかかる重力。全身を冷やす外気。だが、細い目で、悪い視界でも、その姿が誰だか認識できる。
「……なんで君なんかに……」
アカネは、ほとんど聞こえない声で呟いた。
アカネを引っ張り上げたその人物はボロボロの姿で、だけどもはっきりとした右目で、アカネを見ていた。
少し、アカネの口元が笑む。
「ホントにキミは失敗作だね」
「ああ。俺はお前が作った失敗作だ」
アンチ。
怪獣にして怪獣ではないアンチは、表情を一切変えないまま言った。
アカネとアンチの足元にも薄っすらと残っていた魔法陣が、とうとう完全に消滅した。
「だから。お前を、あの退屈な世界から、救いに来た」
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