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レーヴァティン
第二百六十六話 東に来てその三

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「誰もがな」
「こっちもだよ、全員な」
「巨人が嫌いか」
「大嫌いだよ」 
 実際にというのだ。
「本当にな」
「それは何よりだ、巨人にファンは不要だ」
「アンチは必要だな」
「巨人は愛されるチームではない」
「憎まれるチームだよな」
「そうだ」
 英雄は一言で言い切った。
「だがこの世界にもな」
「この浮島にもか」
「実はある」
「そうなのか」
「野球もあってな」
「起きた世界の日本程ではないが」
「そういえばさっき言ったな」
 久志もこのことを思い出した。
「そういえば」
「そうだな」
「じゃあ巨人あるんだな」
「安心しろ、弱い」
 英雄は言い切った。
「この前めでたく百連敗を達成した」
「それはめでたいな」
「起きた世界の東大野球部よりも弱い」
「あそこ六大学でいつも最下位だな」
「六大学野球は実質五チームか」 
 最下位が常に決まっているからだ、東大野球部は最下位であることがご愛敬となっているとさえ言われている様だ。
「そうだよな」
「そう言っていいな」
「それでこっちの世界の巨人はか」
「その東大野球部よりもだ」
 さらにというのだ。
「弱い」
「それはいいことだな」
「巨人には無様な負けがよく似合う」
 英雄はこうも言った。
「まさにな」
「その通りだな、まあ巨人があってもな」
 それでもとだ、久志は今度は笑って述べた。
「弱いならな」
「いいな」
「弱い巨人は最高だよ」
「いつも負けてな」
「その負ける姿を観てな」
 そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「楽しめるな」
「ああ、巨人だけはな」
「負けていいな」
「あれだけ悪い連中いないからな」
「巨人は邪悪だ」
 英雄もそれだとわかっている、巨人こそはそれだとだ。
「ならな」
「負けないとな」
「絶対の悪は一つある」
「それが巨人だな」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「そう言うしかないのがな」
「巨人だよな」
「俺の親父もお袋も嫌いだ」
「うちもだよ」
「祖父母もな」
 両親だけでなくというのだ。
「親戚も全員だ」
「アンチなんだな」
「そうだ」
「それはいいことだな、こっちもだよ」
 久志は英雄にここでも笑って答えた。
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