■■SAO編 主人公:マルバ■■
四人で紡ぐ物語◆レッドギルド
第二十八話 アイリアの覚悟
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まった。
攻撃を防がれてノックバックしているはずのボスは動きを一切止めていない。身体を半回転させて放った横薙ぎを更に加速し、身体を完全に一回転させて同じ体勢からもう一度二刀の横薙ぎを繰り出そうとしている。
ミズキに再びボスの凶刃が迫った。こんどこそ受け流しきれずにミズキの盾は横に吹き飛ばされ、ミズキ自身も尻餅をついてしまう。特殊状態異常、転倒。
ボスの一撃はソードスキルによるものではないので、スキル発動後のディレイは一切適用されない。再び刀を振りかぶったボスに対し、防御態勢をとれないミズキの代わりにアイリアが前へ進みでた。アイリアは防御には向かない槍で対抗するしかなかった。勝ち目がないのは誰の目にも明らかだった。視界の端で、マルバとシリカがこちらに駆けつけているのが見えるが、この一撃には間に合わないだろう。
アイリアは死を覚悟した。……いや、覚悟などできるものか。アイリアにはただ死を恐怖する暇さえ与えられなかったのだから。
二刀を振りかぶったボスが槍を掲げたアイリアに攻撃をしようとした瞬間。
ミズキの影から飛び出した一匹の黒猫がボスに飛びかかったように見えた。ちりん、という澄んだ音が響く。その音は一瞬その場の全ての者の動きを遅くしたように感じた。
……いや、実際に遅くなっている。ボスの動きが明らかに遅くなり、振りかぶった二つの刀がアイリアのすぐ近くで減速した。アイリアは驚きつつも、ボスの二刀の片方が内側へ寄りすぎていることに気づいた。
アイリアは減速した時間の中でボスの片方の刀を側面から思いっきり叩いた。
それと同時に、減速した時間が一気に加速した。なぜかとても重くなっていたアイリアの片手槍はすっと軽くなり、その先端が敵の刀を強く叩く。槍の先端の刃が火花を散らすと、側面の弱い方向から叩かれた刀は途中からぽっきりと折れた。もう一方の刀はアイリアの足元にいた何かを斬り飛ばし、小さな破砕音と共に青いポリゴン片をあたりに飛散させた。
アイリアはそれから先のことをよく覚えていない。ただ自分が何か強大な力に引きずられているかのように武器を振り回し続けたことをおぼろげに思い出せるだけだ。
結局、LAを取ったのはアイリアだった。駆けつけたマルバとシリカは、修羅と化して槍を振るうアイリアの攻撃範囲に入れず後方から支援するしかなかった、とアイリアは後で聞いた。
ボス戦後しばらく考えたけれど、アイリアは自分がなぜそれほど、自分を失うほど激高したのか自分でも結論が出せずにいた。
あの時ボスが斬り飛ばしたのは、他でもないクロだった。トレードマークの鈴付きの首輪を残してクロがポリゴン片と化した時、アイリアは自分の仲間が死んでしまったという恐怖に取り憑かれたのだ。その恐怖に我を忘れ、敵討ちをするか
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