暁 〜小説投稿サイト〜
不可能男との約束
選択の始まり
[6/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
「武蔵アリアダスト教導院副長熱田・シュウとして、この場で俺の立ち位置を言わせてもらうぜ」

周りの疑問と警戒を無視して、ただ熱田は自分が言いたいことを言った。

「───俺は絶対にこの臨時生徒会に関わるつもりはない」

時間が停止した。
誰もが沈黙を選んだ。それはその光景を表示枠で見ていた武蔵住人や他の国の人も同様だ。
そこで、梅組皆が表示枠で見ている人たちの前でせーのとタイミングを合わせ

「ええーーーー!!」

驚いた。

「ちょ、ちょっと待ってくださいシュウ君!」

代表として浅間が彼女の方に歩き寄って質問することで一端叫びを止める。
そうだ。落ち着け本田正純。ここで落ち着かなきゃ駄目だろうが。

「関わるつもりはないって……どうしてですか!?」

「どうしても何も……別に関わる気がないだけだぜ。それにだ。無能の副長が何もしなくても何も影響はないじゃねーか」

ケラケラと自分を落とすような台詞を笑いながら告げる。
その事に何を思えばいいのか解らずに、本当に思考を停止しかけるところだった。
だが、その笑いを許せない人物がいた。

「……ふざけているんですの!?」

ミトツダイラだった。












……また何ですの……!?

火のような怒りに浸かりながら、ミトツダイラの心の中にあるのはそれだった。
だが、それは少し表現が違う。
自分はこの思いを何時も胸の内に秘めていた。
彼がまるで道化のように弱者を装い、それによりたくさんの人から誹謗中傷を受けている事。
それに関して、本人はまるで何とも思って無く、まるでそれが正しいと言わんばかりに笑う時、何時もこの考えは出てきた。
そんなわけがないというのは梅組のメンバーは当然知っているだろうけど、ミトツダイラは絶対に違うと断言できる。
いや、断言しないといけない。
そうしないといけない理由もあるし、根拠もあるのだ。
だからこそ、自分は今回の事に純粋ではないが歓喜したのだ。
自分は今回、一個人としてではなく騎士代表としてこの場に立っているのだ。そしてこの場にいる誰かと相対して───負ける為に。
武蔵の騎士達と話し合った結果、自分達だけではまず聖連に刃向う事などできないという単純な事実を理解し合った。
当たり前の結論である。
個としての力ならまだしも、集団としてならば絶対に勝てる筈がない。人員もそうだが、武器もこちらには満足にないのだ。
それでどうやって勝てと言うのかと騎士達全員が苦渋の顔を浮かべていた。
その表情から誰もがこのような状況を悔しんでいるというのがよく解った。
当たり前だろうとミトツダイラもそう思っている。騎士という名を背負った人間なら、この状況で悔しいと思わないとそれは騎士では
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ