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不可能男との約束
選択の始まり
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よ。正純も気をつけた方がいいさね」

「マ。マサ! 何を平然と嘘をついているんですの! ま、正純もこわっていうような目で引かないでくれませんですの!?」

「い、いや、個人の趣味をどうこう言うつもりはないから……」

誤解ですのよーー!? という叫びに直政がまぁまぁと仲介する。
そしてその後に付け加えた。

「───色々と決着を着けたいことがあるんだろ?」

「───」

ハッとした顔でミトツダイラが直政の顔を見る。
その様子に少し眉を顰めるが、今の言い方から察すると詳しく話してくれそうだ。
ただ、答えとしてミトツダイラが苦笑で

「───Jud.」

と答えたくらいだろう。

「ここずっと溜まっていた鬱憤も含めて───決着を着けたい所ですの」

「……何の話だって聞くのは野暮なんだろうな」

すみませんと苦笑するミトツダイラに気にするなと答える。

……色々、あるんだな……。

当たり前のことだと思うが改めて思う。
何もない人間なんていないだろう。内容は人違えど、それでも色々とあるのは誰でも同じだ。
こういう事で自分は特別だと思うのは間違いだろうと思っていると、いつの間にか目の前には既に教導院の特徴的な階段があった。
見慣れた……というにはまだそこまで過ごしていないのだが、それでもこんな事情と感情を持って、この階段を上るとは思ってもいなかった。
ふぅと思い、上を見る。
それは階段の上から気配がするからだ。それも複数。誰だなんていう疑問は挟まない。
この場に自分達がいる理由がそれなのだから。
だからと思い、三人同時に上を見ると
巻物がいた。

「……」

三人が三人とも半目を持って沈黙した。
その巻物の周りにはベルトーニや熱田や浅間や葵姉などがいるのだが、その取り囲んでいる中央には何故か巻物がいる。
何時の間に異世界に紛れ込んだと思い、何となく目が合った葵姉とアイコンタクトを図る。
いきなり踏ん反り返って、胸を強調するポーズをとった。
意味不明だ。横でミトツダイラがくっと唸っているが、気持ちはわからんでもないと内心で同意する。
とりあえず、何か言わないと始まらないだろうと思い、嫌な役目だと思いつつ、正純が語りかける。

「───ベルトーニ。それは何だ?」

「ああ───食えない春巻だ」

「違ぇよ! 今の俺は巻き寿司だよ! わかんねぇかなぁ? この光沢! この巻き具合! そして活きがいい具材……何時でも私を食べてぇん!!」

気色悪い裏声が食えない巻き寿司から聞こえたので、巻き寿司を取り囲んでいる連中は無言で巻き寿司を蹴って、階段から回転して落とした。
すると、回転したから当然海苔として使われていた、カーテンは剥がれて中の具材が出てくるのだが。

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