第八十二話 わるいおうさま
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マクシミリアンはロトシルトのいやらしい顔に内心嫌悪感を覚えるも、この手の陳情は良くある事なので、それほど気にしないようにして何食わぬ顔で応対した。
「で、そのロトシルトが僕に何の用だい? 」
「その様な大それた事ではございません。陛下を面識を持ちたくこの様な無礼を働きました」
「そうか、僕も覚えておくよ」
「ありがとうございます。そろそろ再演ですので、私は失礼させていただきます」
「ああ」
少ないやり取りだけで、ロトシルトは一礼すると別の来賓室に去っていった。
……
数日後、ロトシルトという商人風の男の事が引っかかっていたマクシミリアンは、執務室にある男を呼び出した。
「失礼いたします」
「アルデベルテよく来てくれた」
マクシミリアン呼び出した男は、かつてアントワッペン市で権勢を誇っていた大商人のアルデベルテだった。
アルデベルテは、アントワッペンの反乱を引き起こした黒幕の一人だったが、その弁舌と商人界隈のコネクションを買われた為、普通なら死罪の所を三年の労役で赦された。
現在は、マクシミリアンの政策ブレーンの一人としてトリスタニアに居を構えていた。
「どうだ、トリスタニアには慣れたか?」
「はい、陛下のお陰でございます」
「ま、掛けたまえ」
そう言って、マクシミリアンはアルデベルテにソファに座るように促した。
「ありがとうございます。今回はどの様な用件で私を呼び出したのでございましょうか?」
「その事だがな……」
マクシミリアンは、アルデベルテに先日のタリアリージュ・ロワイヤル座劇場で出会ったロトシルトの事を話し始めた。
「ロトシルト……でございますか」
「商人に多くのコネを持っているキミなら、何か知っていると思ってな」
「そう……ですね」
アルデベルテは少し考え込んで、
「恐らくですが、ゲルマニアのフランクヴルト市で、銀行業を執り行っているロトシルト卿の事ではないでしょうか?」
「ゲルマニアの?」
「左様にございます。陛下はゲルマニアでは金銭で領地を買い取って、貴族の位を得る事ができるのはご存知でございましょうか?」
「ああ知っている。と、いう事はロトシルトは、ゲルマニアの貴族で間違いないのだな?」
「もしくはその縁者のいう可能性も有りますが……」
「うん、分かった、後で調べさせよう。個人的な事は以上だ。それで、今日呼び出したのは、ロトシルトのことだけでは無くてな……」
マクシミリアンは、アルデベルテの商人ネットワークの話題に入った。
そして、数十分後。
「失礼いたしました」
話を終えたアルデベルテが下がると、マクシミリアンは次にクーペを
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