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水の国の王は転生者
第八十二話 わるいおうさま
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ニー諸島を担保に多額の資金提供を誘いアルビオン側はこれに乗った。

 そして現在アルビオン北部のオーグニー諸島を得た事により、北回り航路のシーレーン防衛に光明が差した。


「陛下も国際社会という化け物をずいぶんと心得るようになりました。このクーペ、大変うれしゅうございます」

「世辞はいいよ。僕はトリステインに必要な事をしたまでなんだ」

「して、アルビオンをどう料理なさるお積りで? 現国王のジェームズ1世陛下とウェールズ皇太子殿下、そしてモード大公の御三方を亡き者にすれば、アルビオンの王位継承権は陛下の物となりますが……」

 そう言ってクーペは『お伺い』を立てた。
 ちなみに新世界に居るハーフエルフのティファニアは、『候補に入れる必要は無い』と思い、王位継承者から除外してある。

「そこまでやる必要は無い。強くなりすぎればシーレーンを脅かす厄介な相手になるが、だからと言って弱すぎて同盟国として頼りないと困る。生かさず殺さず、常にトリステインが主導権を保ち続けるようにしよう」

「御意」

「他に報告はあるか?」

「帝政ゲルマニアに放った間者の事ですが、早くとも二三年後には、スラヴ人は爆発すると思われます」

「仕掛けは上々か。クーペ、暴発しないように、スラヴ人たちを調整と監視を怠るな」

「御意」

 ゲルマニアの仕掛けとは、ゲルマニア国内のスラヴ人と呼ばれる非ゲルマニア民族に、民族主義を植え付け反乱を起こさせる計画だった。

 マクシミリアンは、机にブランデーグラスを二つ置き、最近出回るようになったタルブ・ブランデーの栓を抜いた。

「クーペも()るか?」

「私は結構でございます」

「そうか」

 そう言ってマクシミリアンは自分の分のみをグラスに注いだ。

「仕事が残っておりますので失礼いたします」

「ん、ご苦労」

 クーペは一礼すると執務室を出て行った。

「謀略、謀略、また謀略……悪い王様ここにあり、だな」

 マクシミリアンは、ブランデーが満たされたグラスの先を覗き込むようにすると、フンと鼻で笑い、それを一気に呷った。

 ……

 執務室を出たクーペは、空き部屋に入ると周囲に誰も居ない事を確認し、用意していたメイド服を取り出すと、今まで着ていた男性用の服を脱いだ。
 中肉の男の姿だったクーペの身体は、見る見るうちに皮と骨だけになり、股の間には切り取ったのか、それとも最初から付いてなかったのか、シンボルが付いて無かった。
 次にクーペが合掌する様に両手を擦り出すと、手の平にはピンク色をしたペースト状のものが付いていて、そのペーストを身体に塗りたぐると、骨と皮だけのクーペの身体に肉が付き出した。
 石膏細工の様に身体にペーストを
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