第五十八話 思惑 U
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識は変わらないんじゃないか?」
「同盟市民ですからね。所得税やら固定資産税やらいろいろ払う事になりますし、使用人の給料も払わねばなりません。帝国の時給の保証額は知りませんが、税金やら何やら同盟の水準を示した上で色々と選択して貰いますよ」
「…領土が増える、ってのは大変なんだねえ。そこまで気にしている人がいるかどうか…」
「全部キャゼルヌ大佐の受け売りですが…聞いてませんか?」
ヤンさんはまた頭を掻き出した…俺もキャゼさんに聞くまで知らなかった、というか全く気にしてなかったんだよ。貴族の持つ資産を保証すればいい、くらいにしか思ってなかったし…。
「全く…。説明は君がやってくれる、って言われて来たからね」
「そうですか…貴族達にしてみれば我々は迷惑極まりない客ですからね。飲める条件なら飲む方向で話を進めないといけません。極端な話、同盟っていいところだ!って思って貰わねばなりませんから」
「そうだね…迷惑極まりない客か…。実際の所、彼等はどう思っているんだろうか」
「これから直接聞いてみればいいじゃないですか」
「そうだね。折角の機会だし、そうしよう」
「迎えの車…じゃない、ありゃ馬車ですね…。いや、楽しみだな」
総督府、と呼ばれる瀟洒な建物には、すでに俺達二人の為に多くの貴族が集まっていた。彼らはまあ虚脱状態と言っていいだろう。同盟軍がやってきて、何をしていいか分からない内に占領政策が始まって、自分たちがどうなるかも分からない。できるだけ彼等の不安を取り除いてやりたいが…。
「お初にお目にかかる。私はテオドール・フォン・ダンネベルグ。チャンディーガル総督です」
「自由惑星同盟軍中佐、宇宙艦隊司令長官の次席副官をやっておりますヤン・ウェンリーです、どうぞよろしく」
「同じく中佐、宇宙艦隊司令部、作戦参謀をやっていますヤマト・ウィンチェスターです。よろしくお願いします」
俺達を見る視線に敵意は感じられないが十分に冷めたものだった。
「宇宙艦隊司令部か。場末の連絡士官ではないという事だな…済まない、君たちの艦隊連絡士官は、此方が何を言っても上に報告の上善処しますとしか言わないのでね。だが司令部所属というなら少しは話が出来そうだ、よろしく頼む…紹介しよう、こちらはバルトバッフェル男爵。そしてリューデッツ伯爵、ミュンツァー男爵、クラインゲルト子爵だ。ミュンツァー男爵の名は叛乱軍…いや同盟でも有名なのではないかな」
「そうですね。晴眼帝マクシミリアンの名宰相ミュンツァー、弾劾者ミュンツァーとしてその名声はとどろいていますよ。距離の暴虐、と称して我々への軍事行動を諫めた方としてもね」
「ヤン中佐は歴史に詳しい方の様だ…他の方々はおいおい紹介しましょう…さ、こちらへ。帝都オーディンの舞踏園遊会とはいかないが宴席が用意してあります」
宴
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