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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
第五十八話 思惑 U
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港、畑に点在する同盟軍が設置した農業プラント、無人トラクター、大規模なスプリンクラー…が示している。うん、景観の邪魔だ。

『司令部代表としてアムリッツァを視てきたまえ。貴族達と会合を持ち、彼等の話を聞いてくるのだ。報告だけでは分からない所があるからな』

というシトレ親父の命令でここに来た。同行しているのはヤンさんだ。郊外に設けられているシャトルが降りるのが精一杯の宇宙港、そこを中心に同盟軍の部隊が駐屯している。同盟軍艦艇は大気圏突入能力を持たないから、惑星上にいるのは便宜上、遠征軍司令部と名付けられた司令部、各艦隊から抽出編成された陸戦隊だけだ。遠征軍司令部も各艦隊の寄り合い所帯だ。各艦隊から作戦参謀と情報参謀、補給参謀がそれぞれ一人ずつ派遣されている。予想に反してロボス親父は慎重な男だ…まあ麾下の艦隊司令官が命令違反を犯して一個艦隊壊滅…ともなれば慎重にもなるだろうな。おかげでアムリッツァ星系およびその周辺星系への駐屯は大した反抗もなくスムーズに進んでいる。原作に名前の出てくる貴族だけでもクラインゲルト、ミュンツァー、バルトバッフェル…ここチャンディーガルに居るダンネベルクという貴族は知らないが、その名前の知らない貴族がうじゃうじゃいる。在地領主というやつだが、皆一様に貧しい。貴族でも辺境ではこの有様だ。オーディンやその近隣星系に居る大貴族ってのはとんでもねえ存在なんだ、と今更ながらに再認識させられるよ…。
「のどかな所だね。退役後はこんな所でのんびり過ごしたいもんだね」
「ヤン中佐が頑張ってくれたらその分早く退役できますよ」
「…そんな事言われてもねえ」
ヤンさんはポリポリと頭を掻いた。どうもヤンさんは全てにおいて他人事な所がある。エル・ファシルで全ての忍耐力を使い果たした、ってのもあながち嘘じゃなさそうだ。という事は今は充電期間とでも思っておけばいいんだろう。何年か経てば嫌でも働く事になるんだから…。
「ところで、この後は帝国の貴族達と会うんだろう?」
「はい。彼等が求めているのは現在の所平穏な生活のみですが、いずれは同盟式の生活に慣れて貰わねばなりませんから、その話もしようと思いまして」
「彼等の地位はどうなるんだい?」
「地位はただの同盟市民ですよ。まあフォンの称号も、爵位も別に今まで通り名乗って貰っても構いませんが、フォンの称号はともかく爵位を名乗り続ける事は同盟市民としてはおすすめしませんけどね」
「彼等の持つ資産はどうなる?」
「今まで通りですよ。現在まで開発を進めている土地や鉱山、施設に関しては保持していて貰って構わない、といったところでしょうか。それを決めるのは当然私じゃないですが。惑星を保持しているなら、そのまま保持していて貰ってもいいと小官は思いますけどね」
「資産家、という事か…でもそれだと貴族の意
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