第五十八話 思惑 U
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させる輩がいると…貴族の一員として強く否定出来ない所が悲しいですな。いや、悲しんでいる場合ではない。そうなったら帝国は…」
「はい。私はその備えとして残らねばなりません。私の靡下として残るのは甥のケルトリング中将、メルカッツですな。メルカッツは中将に昇進させます。帝都の地上部隊はオフレッサーが指揮を執ります」
メルカッツか。この男とメルカッツはそれほど仲が良くないと聞いているが、奴は政治的野心がないとも聞いている。そこを買ったのだろう。ケルトリング中将…ああ、軍の名門ケルトリング家の当主か。だがケルトリング家は第二次ティアマト会戦の影響で没落した筈だ…分家の誰かが名跡を継いだのだろうか。
そしてオフレッサー…擲弾兵総監、上級大将の地位にある野蛮人…。二メートルを超える巨躯、全身が筋肉の鎧で覆われた旧石器時代の英雄。将官となった今でも自らトマホークを振るう事を厭わないと聞いている。評判は碌な物では無いが、この男が帝都にいるのは心強い。
「あと…グリンメルスハウゼン閣下が上級大将として幕下に加わっていただけるそうです」
グリンメルスハウゼン?首を傾げて考えていると参謀長が、皇帝フリードリヒ四世の元の侍従武官だ、と教えてくれた。成程、フリードリヒ四世の治世がどうなるかどうかの瀬戸際だ、居ても立ってもいられなくなったか。だが軍事的能力はどうなのだろう、評判や実績は耳にしたことが無い…補佐する奴が哀れだな…。
「兵力はどうなっているのでしょう?」
ミュッケンベルガーが遠征軍として示した兵力は以下の様な物だった。
奪還遠征軍司令官:クライスト大将 一万五千隻
副司令官:ヒルデスハイム伯爵大将 一万五千隻
ハンス・フォン・ゼークト中将 一万二五百千隻
トーマ・フォン・シュトックハウゼン中将 一万二千隻
パウル・フォン・ギースラー中将 一万二千隻
合計六万六千五百隻…近年稀に見る大軍だ。クライストは当然雪辱を誓っているだろうし、ゼークト、シュトックハウゼンの両名もヴァルテンベルク、クライストの後任としてイゼルローンに赴く筈だったと聞いている。ギースラーはヴァルテンベルクの副司令官だった。アムリッツァでは伯の艦隊の副司令官として駐留艦隊の残存をまとめ、我々と共に戦った。要塞攻防戦の時も当時のヴァルテンベルグ大将率いる駐留艦隊が戦線を維持できたのは、この男の力によるものが大きいと聞く…ゼークト、シュトックハウゼン両名の指揮能力は分からないが、最前線を任される予定だった二人だ、この非常事態に抜擢されるのだしそれほどひどいものではないだろう…むしろそう願いたいものだ。
アムリッツァの反乱軍七個艦隊に比べると少ない戦力である事は否めないが、戦い方次第ではどうにか出来る戦力だ。本来ならこれにミュッケンベルガーの直卒艦隊が加わる予定だったのだろう、
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