第六百七十五話 どれだけ生まれ変わってもその四
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「ベリヤならな」
「あるな」
「いい話が全くないからな」
「まさに屑だな」
「能力はあった様だが」
人間としてのだ。
「人をたぶらして盗みをさせたりな」
「ガキの頃にな」
「不良に先生の鞄を盗ませてな」
テストの答案用紙を入れたものであったという。
「それを拾ったことにして先生に届けてな」
「いい印象を与えたりな」
「そんな卑劣で下衆な策謀ばかりしていた」
「そうした奴だったからな」
「若しベリヤと罵られたらだ」
その場合はというと。
「犬畜生よりもだ」
「酷い罵倒語だな」
「まさにな」
「狡猾で残虐で卑劣で陰湿で好色で殺人鬼だった」
フックはベリヤをこう評した。
「幼女趣味もあるな」
「権力欲の塊でな」
「いい部分が全くないな」
「流石に家族は愛情を持っていたが」
「騙されていたに決まっている」
ベリヤをその生涯弁護した息子もというのだ。
「そんな奴だからな」
「そうとしか思えないな」
「人を騙すのが常だった」
ベリヤという男はだ。
「それならな」
「家族を騙すこともな」
「普通でだ」
「息子さんも騙されていたな」
「そもそも良心がない奴だ」
フックは言い切った。
「それに他人の痛みがわからない」
「むしろ痛めつけて喜ぶ奴だな」
「そんな奴が愛情を持つか」
「何かに対してな」
「そんな筈がない」
「その通りだな」
タムタムも頷いて答えた。
「あいつは」
「人間として必要な感情がない」
「一切な」
「そんな奴だからな」
「家族を愛することもか」
「有り得ない」
絶対にと言うのだった。
「世の中そんな奴もいる」
「残念だがな」
「極めてな、そしてそんな奴はな」
「家族にもか」
「愛情なんてだ」
フックに対して話した。
「微塵もだ」
「ないか」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「息子さんは誤解していたんだ」
「自分の父親をか」
「いい父親だとな」
その様にというのだ。
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