第四十話 期末テストを前にしてその九
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「特技がないんじゃないのか」
「そんな人なの」
「私そうも思うわ」
「お勉強は出来てもそれだけね」
「大学教授や官僚になっても」
東大法学部を卒業すればそうした道に進むという考えからの言葉である、美奈代はこの大学のこの学部を出ればそうした道に進むと思っているのだ。
「あれじゃあね」
「やっていけない?」
「実際弁護士時代にしたことも」
司法試験に合格してというのだ。
「変な活動以外はね」
「ないのね」
「あんたあの人が弁護士で依頼したい?」
「絶対に嫌よ」
富美子は目を座らせて即答した。
「それこそ落としものネコババでよ」
「それだけで、っていうのね」
「死刑になりそうよ」
「それがお財布でそうしても」
「もうね」
「それだけで、でしょ」
「スピード違反をしても」
そうしたことでというのだ。
「本当にね」
「死刑になりかねないでしょ」
「そう思うわ」
姉に本気の顔と声で返した。
「もうね」
「そういうことよ」
「学校の勉強だけね」
「あの人はね」
「他は全部駄目なのね」
「大学まではよかったけれど」
学校の成績さえよければというのだ。
「誰も何も言わなかったけれど」
「それが社会に出たら」
「それ以外は駄目でね」
それでというのだ。
「今だって私達にね」
「こう言われてるわね」
「そうじゃない?どう見ても弁護士としてはね」
「絶対に弁護してもらいたくないわね」
「もう裁判官をしても検事をしても」
そちらの仕事に就いてもというのだ。
「まともに出来ないし」
「見てわかるわね」
「それで政治家としてもね」
今の仕事でもというのだ。
「ああだしね」
「色々酷いわね」
「もう誰も相手にしてない位でしょ」
「言ってることは酷過ぎて」
「ネタとして見ている人はいても」
それでもというのだ。
「まともに聞く人いないでしょ」
「政治家としても全く駄目ね」
「駄目も駄目で」
「本当にお勉強以外はなのね」
「何しても駄目な人でしょ」
「世の中そんな人もいるのね」
「私もあの人見てわかったわ」
今二人で話しているその人物をというのだ。
「東大出てもあれな人はいるのよ」
「法学部首席でも」
「それでもね」
「何かそう言うと凄いわね」
「そうよね、ただね」
「ただ?」
「ああはなりたくないわね」
美奈代はこうも言った。
「勉強は出来てもね」
「勉強だけなのは」
「そうよ、だからあんたも勉強は大事でね」
「やることはやるべきね」
「けれどそれだけじゃ駄目よ」
「勉強だけじゃなくて」
「人間や人生、世の中を見聞きして」
その様にしてというのだ。
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