第10.5話 約束 (高町なのは@7歳)
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なのはと一緒に居るよ。約束する。」
――なのは自身がそれを望み、そして、それが許される限りは。
そう。なのはの生きる世界は決して優しいものではない。だから俺はなのはを守ると決めた。ならば、俺となのはの関係は何も変わらない。
それに・・・初恋は成就しないものと、相場が決まっているだろう?
「そっ、そっか!
――なのはとコウくんは、ずっとずっといっしょ、なの。・・・こ、こ、こ、こ、これってプロポーズなの?!」
なのはの手が何かを求めるような仕草で揺れ動いている。そのことに気付いた俺は――無論、なのはの後半の呟きなど気付かぬ振りだ――なのはの細く小さな手を、しっかりと握り締める。約束の証しを、そこに立てるように。なのはの未来が安らかであれと、祈りを込めて。
「!! ・・・にゃは。にゃはははは♪」
なのはの赤く染まった頬が、幸せそうな笑顔が、やけに目に沁みた。そんな帰り道の出来事だった。
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「ただいま!お母さん!!」
「母さん、ただいま帰りました。」
その後も仲良く手をつないで帰ってきたなのはさんと高貴君の二人は、翠屋の扉を開き桃子さんに帰宅の挨拶をする。
「お帰りなさい、なのは、コウくん。
・・・なのはが随分嬉しそうだけれど、何かあったの?」
この時、なのはさんの顔と耳は完熟トマトのように真っ赤で、その表情は蕩けんばかりの笑顔であった。喜色満面、というには艶がありすぎである。
娘のこんな顔を見てナニかあったんじゃないかと思わない母親が、この世にいるわけがなかった。
年齢によっては完全にアウトな表情なのであるからして・・・
「それh「あのね!コウくんがなのはのことを愛してるって言ってくれたの!!」」
「あら」
「それでね!コウくんがなのはにプロポーズしてくれたの!!」
「あらあら」
高貴君の言を奪う形で、なのはさんは喜ばしい体験《主観的事実》を可及的速やかに報告完了した。衆人環視の翠屋店内で。
そして来店したお客の皆々様が微笑ましいものを見るような生暖かい目線《祝福の無言の言葉》をなのはと高貴君にプレゼントしてくださる。
しかし、そんな悪環境においても高貴君はポーカーフェイスを維持し――微かに血色は良くなっていたが――誤解を解くための説明を頭の中で練っていた。
「あの、母さん違うんです。」
「ち、違うの?」
「・・・違いません。俺は、なのはのことが好きです。」
論理的帰結の妥当性、客観的視点、中立的観点に基づく正確な事実の報告。そんなものは、なのはさんの涙目の前には塵芥に等しかった。
故に、高貴
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