9月
第6章 彩れ文化祭
第125話『2学期』
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いた晴登たちの元に現れたのは優菜だった。微笑をたたえ、天野という名の転入生がクラスの人たちと馴染む様子を見ている。
そういえば、彼女もこのクラスの学級委員だったか。新しい仲間がきちんと輪に加われるかは気になるところだろう。
「せっかくですから皆さんとも仲良くして欲しいですけど……今はまだダメそうですね」
「ううん、また来るよ。ありがとう優菜ちゃん」
せっかくなら紹介してあげようと優菜は思い立つが、まだ転入生の回りにはクラスメイトが群がっている。今すぐには無理だろうということで、大地がそう言って、ひとまずは退散することに決めた。
「……?」
そうして2組を後にしようとしたところで、不意に転入生と目が合った気がした。ほんの一瞬、こちらを一瞥したのだ。
廊下からこちらを見る他クラスの人がただ気になった。彼女からすればそれだけのことのはずだが、何だろうこの感じ。既視感とも呼べる違和感を覚え、晴登は不思議と彼女から目が離せなくなる。
「どうしたのハルト?」
「え、いや、何でもない……」
しばらく転入生のことを見ていると、腕を組んだままムスッとした表情で結月がこちらを見てくるので、ひとまずその場は誤魔化した。
「にしても、この時期に転入って珍しくないか? まだ中学1年目だぜ?」
「親の都合とかそんなんでしょ」
自分の教室に戻る道中、大地が放った疑問に莉奈がそう返した。
確かに、親が転勤するから転校するというのはよくある話だ。決して珍しくはない。
「親の都合、か……」
ただ、「親の都合」と聞くと、晴登の頭の中に思い浮かぶ人物がいた。普通の人と見た目が少し異なる彼は両親に逃げられて、今も一人暮らしを続けている。人様の家庭事情だからあまり深く首を突っ込むのは良くないと思うが、そのままでもいいのだろうかと、ついお節介を焼きたくなってしまう気持ちもあった。
今は友達として彼の学校生活を支えているが、いずれはそのことに向き合う時が来るのかもしれない……なんて、考えすぎだろうか。
*
「……暇だね」
「……暇だな」
放課後になり、魔術室に集まった晴登と伸太郎は2人でため息をつく。晴登が部長になってから初めての部活動だというのに、一言目が「暇」では示しがつかない。
「まぁ部長たちがいた頃から暇ではあったけども」
「もう部長はお前だぞ? 呼び方変えねぇと」
「あ、そっか。じゃあ黒木先輩と辻先輩? なんか慣れないな……」
関係性が変われば、呼称も変わってしまうというもの。全然口に馴染まないこの呼び方も、これからはやっていかなければならない。そのうちまた間違えると思うけど。
「そうい
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