9月
第6章 彩れ文化祭
第125話『2学期』
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「メイド服ってあのヒラヒラしてるやつでしょ! ハルトが着たら面白そう!」
「何で結月はそっち側なの!?」
「ほら、2対1だ。どうする?」
「だからやらないって! てか、着るなら結月でしょ!」
「いやボクは似合わないからいいよ」
「そこは遠慮するのね!」
まさか結月まで食いついてくるとは思わず、分の悪い討論となってしまった。大地はともかく、結月は純粋な興味で言ってそうだから憎めないところがある。
だとしても、メイド服と言えば女性が着るものなので、晴登ではなく結月が着る方が道理というもの。外国人顔負けの結月の容姿なら絶対に似合うと思うのだが、本人が乗り気じゃないので実現は難しそうだ。
「でも、ハルトがどうしてもって言うなら……」
「えぇ? けどちょっと気にな──」
「──ねぇねぇ、転入生見た?!」
「うわっ、ビックリした。どうした莉奈? 転入生って何の話?」
晴登が誘惑に負けそうになったところで、どこからともなく現れた莉奈が大きな音を立てて晴登の机に両手をついた。その音に驚きつつも、聞き逃せないワードについて問い返す。
「知らないの? 2組に新しく来た女の子よ! すっごく可愛いの!」
「2組っていうと、優菜ちゃんのクラスか。可愛いと聞いちゃ黙ってられんな。ちょっと見に行くか」
「なら俺も行こうかな」
転入生、それも可愛いと言われれば、特に意図はなくても一目見てみたくなるのが人の性である。大地につられて晴登も席を立つと、
「おっと。どうしたの、結月?」
「……別に」
そんな晴登の袖を、結月の細い指がクイッと引っ張る。見ると、彼女は何か言いたげな表情をしているが、それ以上は何も言ってこなかった。
「? ほら、結月も行こう?」
「……うん」
結局、何がしたかったのかよくわからないまま、晴登は結月も連れて転入生を見に行くことにした。
*
「え〜っと転入生は……あ、あの子よ!」
「え、あの子!? マジで可愛いじゃん!」
「へぇ〜……って結月、痛い痛い!」
2組のクラスに着いて、窓際の方で目的の美少女を発見する。しかしここからは横顔しか見えず、しかも魔導祭の時に"晴読"で目が悪くなった影響が少し残っているせいでよく見えないのが残念だが、クラスの人たちに囲まれて笑顔を浮かべているのはわかる。
……と、そこまで見たところで、腕に抱きついている結月の力が増す。
「皆さんも天野さんが気になりますか?」
「あの人、天野さんって言うんだ」
「凄く元気な子ですよ。クラスにもすぐ打ち解けましたし」
教室の外から様子を眺めて
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ