第八十二部第三章 国債の発行その三十二
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「日本の天皇は皇帝で」
「各国の国家元首の第一位ですね」
「その座にあられるよ」
「そうなっていますね」
「凄い家だよ、ケベック王家も名門とされているけれど」
連合の中でそう言われている、ブルボン家だけあって。
「足元にも及ばないよ」
「王と皇帝の違いですね」
「そしてその歴史もね」
「全く違いますね」
「そしてそのお暮しは」
王は今度は日本の皇室の生活の話をした。
「あまりにも質素だね」
「皇居もそうですし」
「我が家の別荘程度もないよ」
「まさにそうですね」
「着られている服もお食事も」
「何もかもが質素であられますね」
「規律も厳しいし」
日本の皇室はこの時代でもこのことでも知られているのだ。
「もう一挙手一投足がね」
「宮内省に見られていますね」
「日本のね」
「あれではね、私としては」
王はたまりかねた様な口調で話した。
「とても耐えられないよ」
「規律ばかりで」
「しかもあそこまで質素だと」
「何でも十九世紀からですね」
「明治帝からね」
日本では明治大帝と言われている、近代日本の確立期に国家元首として素晴らしい働きをされた方である。この時代でもそう評価されている。
「そして昭和賢帝でね」
「確かになり」
「今に至るからね」
「昭和帝になりますと」
王妃は感嘆の言葉で述べた。
「あまりにも素晴らしく」
「手本にしてもね」
「私ですと皇后陛下になりますが」
昭和帝のお妃であられた方はというのだ。
「あの方にしましても」
「素晴らし過ぎてだね」
「何をしようとも及ばない」
「そう思わせるものがあるね」
「そして陛下もですね」
「とんでもないよ」
王は王妃に僅かであるが驚いた口調で話した。
「とてもね」
「左様ですね」
「あの方の様になることは」
到底というのだ。
「無理だよ」
「左様ですね」
「あまりにも尊い方で」
それでというのだ。
「まことにね」
「立派過ぎて」
「鑑にするにもね」
「実に素晴らしい方ですね」
「タイのラーマ十世と並ぶかな」
この時代でもタイで敬愛されている、タイの歴史上最も偉大な国王の一人だったとされている位だ。
「まさに」
「そこまでの方ですね」
「聡明であられ仁愛を兼ね備えられ」
「しかも紳士であられた」
「あそこまでの方となると」
それこそというのだ。
「お手本にしても」
「全く近付けないですね」
「日本はあの時激動の時代だったけれど」
俗に激動の昭和だったと言われている、この時代でも。
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