第七十三話 何の価値もない思想家その三
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「絶対にあんたの財産になるから」
「読んでいったらいいのね」
「色々な作家さんの色々な作品をね」
「小説の方が遥かにいいぞ」
父は焼酎を飲む用意をしつつ言ってきた。
「本当にな」
「吉本隆明の本を読むより」
「そうだ、全くあんな奴を今でも持て囃す人がいるからな」
「もう亡くなっても」
「どう見ても馬鹿だけれどな」
このことが明らかでもというのだ。
「何故かだ」
「偉い学者さんが持て囃すのよね」
「そうだ、普通の人が見たらおかしいとしか思えなくてもな」
「学者さんが持て囃しても」
「馬鹿は馬鹿だからな」
このことは変わらないというのだ。
「わからない庶民がおかしいんじゃない」
「吉本隆明のことを」
「あいつが馬鹿だとわからない学者の方がおかしいんだ」
「偉い学者さんの方が」
「昔先進国は皆パンだとか言ってお米を食べることを否定していた東大教授がいたんだ」
このことも戦後のことである。
「後でわかったがこの教授は誰かからお金を貰ってだ」
「そんなこと言ってたの」
「他の東大教授はハンガリーでソ連に反対する騒動があったがな」
「確かハンガリー動乱よね」
「その時にソ連を批判するどころかな」
これは当時の世界という雑誌の対談でのことだ。
「ハンガリーを百姓国と罵ったんだ」
「酷いわね、ソ連の悪政に反対したのに」
「北朝鮮がずっと素晴らしい国と言われてたんだぞ」
そして帰国事業が推進されていた。
「それでわかるな」
「戦後の学者さんの方がおかしいのね」
「マスコミもおかしくてな」
そうしてというのだ。
「大学の教授さんや学校の先生もな」
「おかしいのね」
「そんな中で戦後最大の思想家だ」
「全然大したことないのね」
「北朝鮮がまともな国じゃないなんてな」
このテロ支援国家がというのだ。
「子供でもわかるな」
「子供があの行進真似してるし」
「お父さんの大学時代の知り合いであの世襲の共産主義いいと言った人がいた」
「どう見ても共産主義じゃないのに」
「国民が支持していると言ってな」
「言わされてるだけじゃない」
咲は冷めた目で応えた。
「そんなの」
「誰もわかるな、しかしな」
「その人そう言って」
「日本の皇室は反対なんだ」
「何かそうした人のお話も最近聞くけれど」
「頭の出来は上には上があるが」
それと共にというのだ。
「下には下がだ」
「いるのね」
「その下の下のさらに下のそれ以下がな」
「そんな人達ね」
「そこに吉本隆明がいたんだ」
どん底を割ったさらに下にある様な世界にというのだ。
「馬鹿で冷血なな」
「人の情けもない」
「そうだ、あのテロも何故やったかわからないなんてな」
「吉本隆明は言ったのね
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