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DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜
桜華の戦略
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この戦略を主軸に置いているのだ。
「でもそれだけじゃない。ソフィアを打てない理由があるんだ」
「あぁ……究極のピッチングでしたっけ?」
「おぉ、ちゃんと覚えてたんだぁ」
普段自身の話を聞いていないと思っていた彼女の口から欲しかった言葉が聞けたことに頬を緩ませた。
「本当にうまいなぁ、あいつのゲームメイクは」
本部席で試合を見ていた町田が口を開く。彼の言葉に佐々木が反応した。
「ゲームメイク?」
「あぁ、なんであのストレートとスプリットで三振の山を築かないのか気になっていたが、それすらもあいつの戦略だったんだ」
「どういうこと?」
「三振をあえて取らないことで試合を支配してるんだよ」
彼が何を言いたいのかわからず顔を見合わせる面々。それを見て町田はポリポリと頭をかいた後説明を始める。
「よく三振を取りまくってたピッチャーが突然一発を浴びる場面を見たことないか」
「ありますね」
「ホームランとはいかないまでも長打を浴びるケースもありますよね」
絶好調で相手から奪三振を連発していた投手が突然長打を打たれ失点する場面がある。投手出身である町田もその場面には何度も遭遇してきた。
「三振を取れるのは投手としては大きい。ピンチの時にそれができればリスクを減るしな。ただ、三振は取れば取るだけデメリットも生まれる」
「球数か?」
「それもある。ただ、それだけじゃない。三振を取るには常にいいボールを投げ続けなきゃならない。だが、投手も人間、常に完璧な投球をし続けることなんてできるわけがない。そして三振を取り続けるだけの投球の中に紛れ込んだ失投はほぼ確実に打ち返される。それだけ目立つんだ、好投している時の失投は」
真っ白な衣服の中にポツリとあるシミが目立つように、投球が良ければ良いほど失投が際立ってしまう。しかも打者はその投球に引っ張られて集中力が上がっている状態。そのタイミングでの失投は痛打は免れない。
「ソフィアはかなりストライクゾーンを広く使ってきている。これだけ気を張った投球じゃ失投のリスクはなお上がる。その失投を目立たせないために打たせて取る投球を徹底しているんだろう」
さらにソフィアは初回にわざと打たれて相手に先入観を与えている。二回以降打てなくなることで焦り出した相手の余裕の無さを生かして中盤に逆転しそのまま逃げ切る。これが戦力に恵まれていない桜華学院が勝ち上がってこれた理由。
「考え抜かれた戦い方ってわけね」
「そう。しかもなかなか気付けないようにいくつも罠を張り巡らせているのが厄介だ。しかも気付いてもすぐには対応できない」
少ない戦力で勝ち抜くための策略。現にそれを生かしこの試合も終盤までリードをした
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