暁 〜小説投稿サイト〜
DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜
桜華の戦略
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ここでそれを出すとは思えない。
(ここでチャンスを逃したら追い付けないかもしれない……でもそれを何とかする方法はない……よね)
バットを握る手に力が入る。しかしそれ以上に力の入っている先輩の姿を見て、少女は顔を俯けた。
(力入ってるなぁ……動す?)
想像以上に力んでいる様子の莉子を見てリュシーがベンチを見る。本当の力みか演技なのか判断がつかなかったようで、彼女は指揮官に判断を委ねた。
(この場面で演技をする必要なんてねぇだろ。ヒットで点が入るんだ、普段通りに打った方が確率が上がる)
(じゃあムービングで様子見てみるよ)
初球は外角へのムービング。これに莉子は振っていくが捉えきれずかすっただけでミットに収まる。
(思ったより動いてきた。だが次は捉える!!)
(この変化に付いて来れないようだとスプリットは無理だね。ここは三振狙うよ、ソフィア)
次のサインは高めへのストレート。そのサインを受けた瞬間、ソフィアはリュシーがいかにして相手を打ち取ろうとしているのかを瞬時に理解した。
(三振狙いだ!!やったやった!!)
投手をするものなら相手から三振を奪う自身の姿に憧れるのは当然。それはソフィアも例外ではない。しかしここまで彼女はあえて三振を取らない投球を続けてきた。
「なぜソフィアがストレートとスプリットしか投げないのに打たれないか、考えたことある?」
「急にどうしたんですか?」
「いいから」
突然の問いに女性は困惑しながらもすぐに頭を回転させる。そこまで野球に詳しくないものの、部長である彼女は多少なりとも勉強はしているようですぐに自身の考えを述べた。
「やっぱりストライクに入るボールは動かして、普通のストレートは
ストライクに入れてない
(
・・・・・・・・・・・
)
からじゃないですか」
「へぇ、ちゃんと見てたんだ」
ムービングファストボールを明宝に見破られた後もスタイルを変えようとしなかった桜華ベンチ。その理由の一つはこれだった。
「初回はストレートもゾーンに入れる。それもMAXのボールじゃない。当然打ってくる奴はいるがそれがもう罠なんだよ。『ソフィアのストレートは打ち返せる』そう頭が出来上がってしまうと際どいボールも打ちたくなる。だが、二回以降はゾーンのボールは手元で動き、ストレートはゾーンから球一つ外して投げる。それでも相手は打ってくるんだ、初回に打ち込んでいるから」
ソフィアのストレートが打てない理由。それはストライクゾーンから球一つ分外へと外しているから。ボール球をヒットにするのは例えプロ野球選手でも容易ではない。ましてやパワーが落ちる女子野球ではなお困難。カミューニはそれをわかっているからこそ
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