第八十二部第三章 国債の発行その二十九
[8]前話 [2]次話
「陛下に嫁ぐ前にです」
「観たんだね」
「そうでしたが」
「ルルは妃には」
王は王妃の性格自分が知っているそれから述べた。
「どうも」
「合わないです」
「そうだね」
「悪女ですね」
「主人公のルルはね」
「私は悪女は」
どうしてもというのだ。
「好きになれなくて」
「謀略や殺人はだね」
「どうしたことは」
「それは私もだよ」
「真の君主は、ですね」
「そうしたことをすべきでないし」
王は妃に話した。
「それに」
「見ればですね」
「全力で止めないといけないよ」
こう言うのだった。
「特に殺人はね」
「そちらは、ですね」
「政治はどうしても謀略はあるけれどね」
「それを止めることはですね」
「やはり難しいけれど」
「殺人については」
「人を殺めることは駄目だから」
絶対にというのだ。
「だからね」
「それは、ですね」
「何としてもね」
それこそというのだ。
「全力で止めるべきだよ」
「君主として」
「それはね、ましてや私利私欲で人を殺めることは」
「ルルはその傾向が強いですね」
「成り行きでそうなっていても」
例えそうであってもというのだ。
「どうしてもね」
「陛下もルルは」
「魅力的であるかも知れないけれど」
危険な魅力、それがルルにあるというのだ。実際にこの登場人物の魅力はそれであると言われてきている。
「それでもね」
「実際にいればですね」
「許す訳にはね」
「いかないですね」
「その行いの殆どをね」
「色々としている人物ですね」
「うん、しかしあの頃の歌劇は」
王は今度はこんなことを言った。
「ああした作品が多いね」
「ヴォツェックにしてもですか」
「十九世紀だけれどペレアスもね」
「音楽や物語が」
「複雑で何処か前衛的な」
「そうした風になっていますか」
「バロックやロココの趣がなくなって」
そうしてというのだ。
「ヴェルディやワーグナーともね」
「また違っていて」
「前衛的なものが入って」
「複雑にですね」
「なっていてね」
それでというのだ。
「観ているとね」
「複雑に思えますか」
「それと共にね」
王は妃にさらに話した。
「妃には言うけれど私の趣味ではね」
「ないですか」
「私としてはバロックやロココの」
「十七世紀や十八世紀の」
「あの頃の音楽が一番好きでね」
「クラシックは」
「そう、それで歌劇もね」
こちらの芸術もというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ